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2010年7月20日号
よみがえれ!江戸東京・伝統野菜
第14回 つまもの④ 木の芽
「木の芽」というと、一般に山椒の若葉を指すほど日本人にはなじみの深い香辛料。葉には極上の芳香があり、日本料理には欠かせないツマもののひとつである。
足立区・皿沼の横田夏夫さんは木の芽栽培専門の農家。栽培を始めて30年以上になる。愛知県の農家に委託栽培している年間約4万本の苗木を1月末に引き取り、6畳ほどもある専用の冷蔵庫に0~5度で保管。収穫時期に合わせて、苗木をビニールハウス内に植えていく。「寒いところから暖かい場所に出すことによって、苗が『春がきた』と思い芽を出すんです。秋から冬は1カ月、夏場は1週間から10日ほどで収穫します」と横田さん。
夏場はすぐ芽が出てしまうため、収穫の調整と遮光用にネットをハウス全体に覆う。この遮光ネットもパーセンテージがさまざまで、適切なものを探すまで苦労したという。
摘み取った木の芽は、専用の木箱に一枚一枚丁寧に並べ、最後にビニ帯で全体を留める。「こうすると、万一木箱が落ちても、木の芽がバラバラにならないんです。高く評価してもらうためには見た目の美しさも必要です」。
一箱に詰める木の芽は50枚。これを130箱ほど毎日大田市場へ出荷する。「バブルの頃は一箱2000円という時もありました。今はガマンの時代ですね(笑)」。
それでも横田さんの木の芽は、市場での取引相場になるほど信用度が高い。
地域とのつながりも強く、農業のかたわら町会長や民生委員、保護司なども兼務する横田さん。地元の皿沼小学校からの農業体験実習も毎年受け入れている。
本記事でご紹介した木の芽を使った料理「夏野菜とたこの木の芽ドレッシング」「木の芽味噌のなす田楽」の作り方はこちらをご覧ください。