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2009年9月20日号
第4回 銀まくわ
―瓜売りが 瓜売りに来て瓜売り残し 売り売り帰る瓜売りの声―。
江戸時代から瓜売りは、金魚売りとともに夏の風物詩であったようだ。
まくわ瓜には大きく分けて金まくわと銀まくわがあり、黄色いまくわ瓜を金まくわ、緑の果皮に縞のあるものを銀まくわと呼んだ。
江戸の頃、葛飾区の中川流域から水元にかけて栽培された本田(ほんでん)瓜は、銀まくわの代表格。大振りで甘みは少ないが、日持ちが良いことからよく売れたという。甘いものが少なかった時代、ジューシーなまくわ瓜は水菓子と言われ、三代将軍徳川家光も大好物だった。
足立区興野で花卉園芸のかたわら野菜を庭先販売している内田和子さん宅では、戦前から銀まくわを栽培していたという。「うちでは夏野菜として普通にいただいていました。庭先販売に出しても“これは何?”“どうやって食べるの?”と聞かれるのが面倒で、自分たちで食べるだけ(笑)。家族1人が瓜1個食べてしまいます」
蔓が自然に取れる頃が食べごろだという銀まくわ。旬も7月半ばから8月初旬の2週間と短い。穫れたてのもの、穫って1日置いたもの、数日置いたものと3種類いただいてみた。果肉の色はメロンのよう。感触もメロンに似たもの、さくさくしたもの、とそれぞれ異なり、ほのかに甘い香りがして、果物感覚で食べられる。
銀まくわには瓜系に見られるシトルリン(アミノ酸の一種)が多く含まれ利尿作用があり、食物繊維も豊富。最近流行のベジタブルスイーツにもなるのでは、と思えた一品だった。