都議選まであと1ヶ月2017年05月20日号
6月23日告示、7月2日投開票の東京都議会議員選挙まであと1か月となった。都議選は首都東京の議員選挙ということで、これまでも各党が国政選挙並みの力を注いできたが、今回は小池知事の誕生により状況が変化、知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が都議選の全42選挙区に候補を擁立する方針を打ち出した他、公明や生活者ネットとの選挙協力を行った。また低迷する支持率に見切りをつけた民進党の公認候補が相次いで離党、都民ファーストからの支援を求めるなど、状況は混とんとしている。各候補者はじめ各党負けられない選挙となるのは必至だ。
知事と対決の自民、連携の公明
小池知事誕生時から対立関係にある自民では、昨年暮れ、会派に所属していた3議員が離脱した。都議選を睨んで小池知事からの支援を求める動きと見られ、当選回数の少い議員を中心に同調する議員が相次ぐのではないかとの憶測が流れた。
今年の第1回定例会において、豊洲移転について「総合的に判断する」と答弁する小池知事に対し、早期の豊洲移転の決断を迫り、自民党の態度を明確に打ち出した。これが功を奏したか、会派からの離脱者はその後1名に留まっている。ダメージは最小限にとどまったといえそうだ。街頭での演説を行うある候補は「風向きは以前に比べ変わってきた」と述べ、反転攻勢の意気込みは強い。
今回の公認候補者数は60名と、前回よりも1名多い。全選挙区に候補を擁立し、小池知事との対決姿勢を全面に打ち出し、都議会第一党の地位を維持することが最大目標といえる。しかしこれまで連携してきた公明が、都民ファーストの会の候補を推薦することになり、その影響がどう表れるかが不安要素。
公明は小池知事との連携を密にすることで、公認候補23名の全員当選を目指す。公明は今回、引退する現職も多いことから、世代交代を果たしながら議席の継承を図る。
3月には都民ファーストの会との選挙協力を行うことで双方が合意した。全42選挙区中、千代田などの1人区(計7)と、公明が議席を持つ荒川を除いた2人区(計15)では、都民ファーストの会が候補者を擁立し公明が推薦する他、都民ファーストの会は公明の23候補者全員を推薦するという内容。自民との選挙協力について都議会公明党幹部は、「自民との連携が解消した以上はあり得ない」と一蹴している。
都議選に万全の体制で臨み、以後の都政運営において一定の存在感を示したい狙いがあるが、市場移転問題については、豊洲移転に向けて知事が示したロードマップをスピード感を持って実行するよう迫っている。移転問題を都議選の争点にすべきではないとの考えだ。
混迷する民進、議席増狙う共産
民進党は2月、都議会での会派名を「東京改革議員団」とし、それまで2つに分かれていた会派を統一、小池知事に対して前向きな評価を下していた。
都議選の公認候補として当初36名を上げていたものの、今年1月に旧民主の元都議2名が離党してからは現職、元職、新人を含め、5月1日現在で離党者は14名にも達している。
離党者の中に都連や会派の役員も含まれる背景には、民進党の伸び悩む支持率があげられる。
ある離党者は「今のままの民進党では戦えない」と漏らす。
その一方、都連や会派の役員が離党したことについて厳しい処分を望む声もあるが、 民進都連は15日、離党した公認候補14名の公認取り消しを決定した。立候補を取りやめた現職の公認も取り消している。
離党者の後の公認候補の擁立については未定であり、このままでは民進党の存在意義が問われかねない。
離党者のうち、都民ファーストの会から公認を受けているのは6名で、いずれも元職と新人。現職は推薦を受ける。
共産は4月25日現在で25名を擁立する。
これまで一貫して反対してきた東京都の一般会計予算案について今年の第1回定例会では賛成に回るなど、小池都政について一定の評価を下している。
公約では築地市場の現地再整備などを訴える。前回の都議選では新人候補を中心に17名が当選、それまでの第4会派から第3会派へと躍進している。今回もさらなる議席の上積を目指す考えだ。
生活者ネットワークは、現職・新人合わせて4名を擁立する。
4月には都民ファーストの会と選挙協力を提携、議席を有する北多摩第2(国立市・国分寺市)では都民ファーストの会から推薦を受ける。
都民ファーストの議席数は?
今回の都議選の注目の的、都民ファーストの会は12日、新人候補2名の公認を追加、計42名の擁立となった。
公明とともに都議会の過半数を確保することが目標だが、都議会の過半数64を確保するには、仮に公明が23名全員の当選を果たせたとしても、都民ファーストの会は41議席を確保することが最低条件。
市場移転問題や五輪の費用負担問題で小池知事への批判が強まる中、41議席の確保はハードルが高そうだ。
さらに都議選の公約についても、都議会改革に関するものが明らかにされたのみで、都政全般に関するものは未だ明らかになっていない。タイムリミットが近づく中、どのような公約が明らかになり、各候補が周知されるのか注目される。
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