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伸ばせ!健康寿命 第16回2017年04月20日号

 
伸ばせ!健康寿命
自分の“健康寿命”について、考えたことがありますか?長生きできても健康でいられなければ、いきいきとした時間を過ごすことはできません。そこで、健康とスポーツを科学的に研究し、健康運動指導士の資格をお持ちの後藤真二氏に、“誰でも” “今から” “簡単に”行える健康寿命を延ばすエクササイズを紹介していただきます。

 

後ろ歩きのススメ

 前回は膝をしっかりと伸ばすためのストレッチングをご紹介しました。今回は膝まわりの筋肉を鍛えるエクササイズをご紹介します。運動は珍しいものではなく、誰でもやったことがある後ろ歩きです。

 膝を伸ばす筋肉は太もも前面の大腿四頭筋です。これは、スクワットなどの膝を伸ばす動作で鍛えることができます。もちろんこの筋肉は、普通に歩くだけでも使われますが、多くの人にとっては十分な強度ではありません。後ろ歩きでは、膝を伸ばして地面を前にけることで体を後ろに移動させるので、前向きに歩くよりも大腿四頭筋の活動が高まるのです。

 また、膝の前側にはいわゆる膝のお皿、膝蓋骨(しつがいこつ)があります。この骨は膝の動きを滑らかにします。これを支えている筋肉は、大腿四頭筋のなかでも、膝を伸ばして力を入れるとももの内側に盛り上がる内側広筋という筋肉です。内側広筋が弱ると膝のお皿が安定せずに、本来あるべき位置からずれたりして違和感や痛みが出ることがあります。これを鍛えるには、膝をしっかりと伸ばすことが大切だと言われているので、後ろ歩きは、膝を安定させるのに有効だと考えられます。実際後ろ歩きを続けたら、膝の痛みが出なくなったという方もいます。また、バランス能力や手足などを強調して動かす能力を高めることにも有効です。

 ところで、後ろ向きに歩くのは慣れないと危険を伴います。そこで練習は段階を追って行いましょう。まず大切なことは、平らで滑りにくい路面で行うことです。できれば慣れるまでは、手すりやすぐに触れる壁沿いで行うと、バランスを崩した時にもすぐに体を支えることができます。

 初めは一歩ずつゆっくりと行い、徐々に速度を速めましょう。少し慣れたら、止まる練習をします。動作に慣れて速く歩けるようになると、つい速くなりすぎて止まれずに転倒する危険性があるからです。少しスピードが出たなと感じたら、速度を下げる練習をして、確実に安全に止まれるようにしてください。

 なお、水中ウォーキングはバランスを崩しても陸上のように転倒することはなく、また一般的にプールはコースロープで区切られていて、人や物にぶつかる危険性も少ないので後ろ歩きを始めるには最適です。

 日頃のウォーキングにも手軽に取り入れられますが、くれぐれも安全に気をつけて行ってください。

 


後藤信二氏

後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長

 大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。

 

 

 

 

タグ:健康 運動 体操

 

 

 

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