豊洲移転めぐり論戦2017年03月20日号

自民は豊洲への早期移転を主張

　築地市場の豊洲への移転問題では、自民が豊洲市場の土壌汚染問題について、法的な基準は満たしており安全だとして、早期の移転を求めたのに対し、公明、東京改革は慎重に判断すべきとの立場、共産は豊洲の汚染が深刻との立場から知事を質した。

　三宅氏は石原都政時代の豊洲の土地取得をめぐる経緯について疑惑が持ち上がっている点について、「手続き上の問題であり、移転の可否には影響しないと考えるが」と質した。小池知事は「用地の選定、土地の購入契約などが不透明であり、それを明らかにすることが都民の信頼にもつながる」と述べ、土地取得の経緯の解明が移転の判断材料のひとつであるとの認識を示した。

　三宅氏の関連質問に立った崎山氏は、築地市場の土壌から基準値を超えるヒ素が検出されたことについて、小池知事が「コンクリートで覆われており、法的にも安全性に問題はない」と説明したことを取り上げ、「築地も豊洲も土壌汚染はあるが、同様にコンクリートでカバーされているので豊洲の安全性に問題はないと思うがどうか」と質した。

　小池知事は「豊洲の場合は汚染土壌の遮断のためのコンクリートではないため、築地と同じように考えるわけにいかない」と否定した。ただ、崎山氏が「（土壌汚染対策法による）法的には必要な措置が講じられているのではないか」とさらに迫ると、「法的にはカバーされている」と認めた。

　橘氏は９回目の地下水モニタリング調査で、環境基準を大幅に上回る有害物質が検出されたことに関連して、８回目までと違う手法で地下水の採取が行われていたことについて知事の見解を質した。小池知事は「それぞれのモニタリング調査が適切に行われていたのかどうか、専門家会議の場で評価してもらう。現在は、モニタリングの再調査の結果を待ちたい」と述べた。橘氏はさらに、この問題を村松市場長が把握していなかったことについて、「これだけ大きな問題となっているときに、まったく緊張感がない」と苦言を呈した。

　野上氏は、崎山氏がネズミのパネルを示すなどして、築地市場の不衛生な現状を強調したことについて、「風評被害を煽ろうとする姿勢は看過できない」と批判、小池知事の見解を質した。知事は「ご指摘のとおりと思う。築地は法的に安全で、都民の絶大な信頼を得ているという点で安心だ。むやみに不安を煽ることは慎みたい」と同調した。

　曽根氏は、小池知事が移転を延期した決断について、「正しかったことは誰も否定できない。開場後に汚染が発覚したら、取り返しのつかないことになったことは明らかだ」と述べるとともに、「築地の地下の汚染と、３０年以上にわたるガス工場の大量の廃棄物とタールが蓄積している豊洲の土壌汚染を同列にみるのはまったくの誤りだ」と自民の姿勢を批判した。

百条委での調査始まる
焦点は東ガスからの土地取得経緯

　豊洲市場問題では、都議会が１２年ぶりに設置した百条委員会（豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会）での調査が始まった。

　１１日には、福永正通元副知事、大矢實元市場長、東京ガス幹部らの証人喚問が行われ、築地再整備から豊洲移転に至った経緯や、土地売却に難色を示していた東ガスが一転、売却同意に至った「水面下の交渉」の実態等が質された。

　大矢氏は、１９９９年に初当選した石原知事に築地市場の視察を要請、現場を見た石原知事が「古く、狭く危険」と認識、移転を決断するきっかけになったことを明らかにした。

　一方、福永氏から交渉を引き継いだ浜渦元副知事が東ガスに対して、「水面下でやりましょう」と話し、何らかの裏取引があったとの疑惑については、福永氏は「まったく承知していない」と証言。大矢氏も「具体的な話は担当者で詰めようという話だったのではないか」と裏取引はなかったとの意見を述べた。

　また、売却に舵を切った理由について、東ガス側は、「築地を何とかしてほしいという都からの強い要請があり、都民にエネルギーを供給している立場から、協力せざるを得ないと考えた」と説明した。

　一方、質疑の中で、「石原知事が豊洲の土地の安全宣言をしないと地価が下落する」などと迫り、売却を求めたとするメモの存在が明らかになったが、証人はいずれもそういったやりとりはなかったと否定した。

　調査は１８日から２０日に石原氏、浜渦氏らの証人喚問を行うとともに、第１回定例会終了後も継続して行う予定だ。

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