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伸ばせ!健康寿命 第14回2017年02月20日号
水中運動のススメ
本コラムでは、元気に歩き続けるための情報を提供していますが、現在歩くのが大変だという方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、そのような方のために良い方法をご紹介します。
陸上での運動では、自分の体重を足腰で支えなければならないので、足腰の機能が衰えたり障害が発生すると立ったり歩くことが難しくなります。でも水の中では、体を沈めた分だけ浮力を受けて体重が軽くなります。
たとえば首まで水に浸かると、頭以外の重さを支えなくてもよくなりますから、陸上では足腰に負担を感じる方も、水中ではそれらを感じずに立って歩くことができます。泳ぐ必要はないので、誰でもできます。
もちろん水中を歩くのは、陸上を歩くのとは負荷が異なり、筋肉や関節への負担は少なくなりますが、歩く動作を繰り返し行えることは、その機能を維持するのにとても有効です。
また単に歩くだけでなく、たとえば水中で膝の曲げ伸ばしを行えば、それらの筋力が鍛えられます。しかも陸上では、膝を曲げる筋肉と伸ばす筋肉は別々にトレーニングしなければならないのに、水中では膝の曲げ伸ばしをすることで両方の筋肉を一緒に鍛えることができるのです。
筋肉への負荷は水の抵抗を利用して、ゆっくり動かせば軽く、速く動かせば重くと、動く速さで自分の能力に応じて変えることができます。さらにプールの中では、転んでも身体が浮くので、けがをすることはありません。ですから陸上ではできないような大胆な動作も行うことができるため、日ごろ動かせない部分までしっかりと身体を動かすことができます。
水中運動はもちろん元気な方にも、特に冬にはお勧めです。冬は気温も湿度も低いので呼吸器に負担がかかりやすく、また日照時間が短いため暗い時間が多く、転倒などの危険性も高くなるので、屋外での運動にはあまり向きません。
一方、室内プールは、一般に室温が30度以上で湿度も高いので、のどや鼻に優しい環境です。ぜんそくなど呼吸器に不安があっても安心して運動ができます。
歩くことが大変な方は、プールでの運動を続けることで、陸上での運動も楽になります。また、元気な方も陸上ではできない運動を行ってさらに元気になるために、ぜひプールに行くことをお勧めします。
後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長
大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。
タグ:健康 水中運動