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局長に聞く96 産業労働局長2016年11月20日号
産業労働局長 藤田裕司氏
東京都の各局が行う事業を局長自ら紹介する「局長に聞く」。96回目の今回は産業労働局長の藤田裕司氏。産業労働局の守備範囲は、中小企業支援や観光、農林水産業の振興、就業支援をはじめ都民生活に直結するものが多い。首都東京の経済政策を積極的に展開するため、今後の取組に期待が寄せられている。
(聞き手/平田 邦彦)
五輪は大きなビジネスチャンス
—産業労働局長に就任して約5か月が経過しました。
産業労働局には、昨年7月まで次長としていましたので、ブランクは一年です。しかし、実際には一年の間にたくさんの新規事業が立ち上がっていますし、既存の事業のブラッシュアップもされている。さらに、北朝鮮の核実験に対する放射性物質の検査体制強化や英国のEU離脱問題に伴う中小企業への緊急対応といった取組も行っている。やはり都民生活や事業活動と様々なところで接点をもっている局であるとあらためて実感しています。
産業労働局の守備範囲はとても広く、中小企業支援や観光、農林水産業振興から雇用就業対策まで、多様な事業を所管しています。これに加えて、オールジャパン&東京プロジェクトとして、日本全国と連携した取組も始めています。また、中小企業の海外展開支援や海外から旅行者を誘致するために、世界に向けた情報発信も積極的に行っています。
本当に幅広い事業領域なのですが、それを支える局の職員は約1200名、職種も17種と多岐にわたり、事業の面だけでなく人材の面でも多様性がある局です。本庁だけでなく、事業所や外郭団体の職員が協力し合い、都民や事業者目線にたって、一つのチームとして仕事をしていきたいと考えています。
—東京2020年大会に向けて、考えていることはありますか。
2019年ラグビーW杯、そして東京2020大会は非常に大きな経済効果を生み出す国際イベントです。このビジネスチャンスを大企業だけでなく、中小企業にも波及させることが重要であると考えています。
そこで、昨年度から産業界と協力し、中小企業世界発信プロジェクトを開始しました。大会等を契機とする官民の入札・調達情報を一元的に集約したポータルサイトを4月に整備し、中小企業の受注機会の拡大を支援しています。現在4000社を超える企業に登録していただいていますが、日本全国の中小企業に登録していただき、ビジネスチャンスを掴んでもらいたいと思います。
—日本を訪れる外国人も非常に増えています。
昨年、東京には約1189万人の外国人旅行者が訪れ過去最多となりました。国全体でも、2016年の訪日外国人が初めて2000万人を超え、今後も増加が見込まれています。
そのため、東京を訪れた旅行者の皆さんが快適に旅を楽しむことができるよう、レストランメニューや案内サインの多言語化、無料Wi-Fiサービスの提供などをさらに進めていく予定です。
また、多摩や島しょ部には魅力的な旅行資源がたくさんあります。ソフト・ハードの両面から地元の地域を支援し、多くの旅行者の皆さんにその魅力をPRしていきたいと思っています。そして東京のことを好きになってもらい、リピーターになってもらいたいですね。
働き方の見直しを促進
—政府は、日本経済の現況を緩やかな回復基調が続いているとしていますが、都内の景気はいかがでしょうか。
都内経済をみると、雇用情勢は堅調に推移していますが、中小企業の景況感は一進一退が続いています。
優れた技術やアイデアを有する中小企業への経営・技術支援、小零細企業の多い伝統工芸品産業の振興など、幅広い支援を通じて都内産業の活性化を図っていくことが重要です。
また、中小企業の成長産業分野への参入を支援していくことも必要です。
11月15日に、東京都医工連携イノベーションセンターを日本橋に開所しました。この拠点を活用し、中小企業と臨床現場、医療機器メーカーとの医工連携による医療機器開発などを支援していきます。さらに、意欲ある起業家を支援し世界に羽ばたく創業者を輩出していくことも、経済活性化の観点から進めたいと思います。
—成長戦略のひとつとして、働き方の見直しもあります。
少子高齢化に伴う人口減少は避けては通れません。日本経済の活力を維持するためには、企業における生産性向上と、従業員の働き方の見直しを進めると同時に、女性や高齢者の就業促進を図る必要があります。
そこで今年度から新たに、企業が働き方の見直しを宣言する制度を創設し、奨励金の支給や国と連携したPRキャンペーンなどを通じて、企業へ目に見える形での見直しを促しています。ぜひ、多くの企業に宣言していただき、働き方改革の気運醸成を図っていきたいと考えています。
また、女性の活躍を促進するためのロッカー、ベビールームなどの施設整備への助成や、多様な働き方に向けたテレワークの導入等に必要な経費の助成なども行っています。
このような施策により、働きやすい職場づくりを進めるとともに、中小企業の生産性向上や人手不足感の解消につなげるなど、労使双方に良い影響を波及させることができればと考えています。
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