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局長に聞く95 港湾局長2016年10月20日号
港湾局長 斎藤真人氏
東京都の各局が行う事業を局長自ら紹介する「局長に聞く」。95回目の今回は港湾局長の斎藤真人氏。東京港の特徴と臨海副都心の賑わい、島しょの港湾整備などについてお話を伺った。
(聞き手/平田 邦彦)
首都圏経済に大きな役割
—港湾局長に就任なさいましたが感想は。
就任して3か月経過しました。その間、業界紙など多数のメディアの取材を受けたのは初めてのことですね。私は入都して30年経ちますが、港湾行政は初めてです。建設局や交通局は仕事の内容はわかりやすいのだろうと思いますが、港湾局は外から見ているとイメージは沸くけれど、中から見ると違ったところもあって非常に新鮮です。
基本は港をつくってそれを管理運営することです。港湾業界の方々にルールに則って港湾を利用していただくわけですが、関係する業界との歴史的なつながりが深いことが特徴です。
横浜や神戸というと、皆さん港町というイメージを持つでしょうが、東京は先に港ができたわけではないのです。それが横浜や神戸との大きな違いです。そのため、一般的に東京港の認知度は高くありません。
首都圏経済において非常に大きな役割を担っていることを私も港湾局に来てはじめて知りました。港湾に関する工事もいくつか行っていますがスケールも大きいですね。
こういう東京港の重要性やダイナミックさを都民や、もっと言えば外国の方にも知っていただきたいと思っています。
—ウォーターフロントの概念がようやく普及してきましたが、水辺空間の賑わいは東京ではまだまだという気がします。
東京の成り立ちを振り返ると、まず街ができてその後に港ができました。東京港はようやく開港75周年ですが、神戸や横浜は150年です。
東京は戦後、幹線道路や鉄道、公園などが整備されましたが、それまで港は市街地と隔絶されてきました。一方の神戸や横浜はそうではなかったわけで、市民がすぐに港に来ることができたのです。山下公園とかポートアイランド北公園のような名所が東京にはなかったわけで、それは寂しいものがありますね。それでも認知度はまだまだですが、東京都でも海上公園を整備しています。
五輪後の臨海副都心の活用がカギ
—臨海副都心は随分と賑わいを見せてきたように思います。
ウォーターフロントとして整備してきた臨海部は、街づくりが開始されて今年で20年目を迎えました。
この10年は急速な発展を遂げて賑わいも出てきたと思います。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、臨海副都心地域において世界最大のクルーズ客船に対応可能な新ターミナルの整備に着手しておりますが、外国人観光客をはじめ来訪者が益々増えることが期待されています。
臨海部には、都心と比べると何ヘクタールもの広大な土地があります。オリンピックの時には臨海部の土地も様々な用途で活用されますが、五輪後、どういう活用を図るかが課題ですね。
都心部と違う可能性を秘めていると思います。全くアイデアがないわけではありませんが、港の機能強化と賑わいを一段上にあげるために知恵が必要な時期に来ていますね。もうひと頑張りする必要があります。
—コンテナヤードは不足しないのでしょうか。
東京港では大量の貨物が輸出入されていますが、今後もさらに増えることが考えられます。そのため現在、中央防波堤の外側に新たに2バース建設中で、来年には完成します。こうした新規整備に加え、既存の青海ふ頭、大井ふ頭を再整備することで東京港の機能強化を図っていきます。
コンテナ貨物はこれまで右肩上がりで増えています。日本経済が20年前から横ばいであっても、東京港のコンテナ貨物量は増えているのです。この傾向はこれからも続くでしょう。高齢化社会を控え、物流の面からは今まで以上に活発な流れになるだろうと考えています。
—港湾局は島しょの港の整備も行っています。今後の整備についての考えは。
港湾整備の考え方は短期で変えていくものではないと思います。島によっては就航率が低いところもありますが、就航率をあげるために防波堤を作ったり、大きな島では、島の反対側にあるもうひとつの港を整備するという手法で長年進めてきました。島しょの港の整備は時間がかかります。
また、津波に対する対策も重要なことから、大島の港などに津波避難施設の整備も進めているところです。
東京では想像できない不便さもあり、島しょでは公共事業が非常に重要ですし、港の整備は常に必要とされていますね。これからも着実に島しょの整備は進めていきます。
タグ:港湾局 東京港 ウォーターフロント 臨海副都心 島しょ港湾整備