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伸ばせ!健康寿命 第9回2016年09月20日号
時には競歩のように
リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが終わり、4年後はいよいよ東京ですね。このスポーツの祭典では、ヒトの能力の限界が競われますが、どれだけ速く歩けるかを競う競歩は、走った方が速いのに走らないで行う少々変わった競技と言えます。50km競歩では、日本人が初めてメダルを取り、2020年の東京オリンピックでも期待の競技です。
私たちは、走るよりも歩く方が楽だと思っていますが、これは普通に歩く場合に限られます。皆さんも歩く速さをだんだん速めると、自然と走りたくなるはずです。
そう感じるのは、それより速く歩くと効率が悪くなるからです。つまり、ゆっくりの時は歩いた方が楽ですが、ある速さ以上では走った方がエネルギーを無駄に使わずにすむのです。
その速さは人によって違いますが、およそ時速8kmと言われます。今回の50km競歩の優勝タイムは3時間40分58秒、平均時速は13・58kmでした。つまり、競歩は、わざわざ大変なことをしている競技と言えます。
したがって 競歩は効率が悪く、エネルギーをたくさん使い、加えて普通の歩きや走りでは使われない筋肉もたくさん使うので、これらの部分が疲れやすい種目です。でも速歩きをトレーニングとして考えると、短時間で効果の高いトレーニングができる優れた運動と言えます。
最近、普通の歩きと速歩を繰り返す、インターバルウォーキングが注目されているのはこのためです。インターバルウォーキングでは、速歩きの速さは最大速歩の7割程度が良いとされ、これを3分毎に普通の歩きと繰り返すことで、生活習慣病や下肢筋力の低下予防効果が期待できます。
本連載の2回目に、できるだけ素早く足を動かす歩き方をご紹介しましたが、今回おすすめする速歩は、できるだけ速く歩き、自分の歩行能力を高めることが目標です。そのために、次のことを意識して歩いてみてください。
- しっかりと地面を後ろに蹴って少し歩幅を広げる。
- 肘は直角くらいに曲げ、しっかり素早く振る。
- お腹を軽くへこませ背筋を伸ばして歩く。
速く歩くと、どうしても走りたくなりますが、走ってはダメです。初めは10歩から20歩で良いでしょう。少しずつ時間を伸ばし、まずは30秒を目標にできるだけ速く歩いてみましょう。ぜひ、いろいろな歩き方を試して、自分自身の一番速く歩ける方法を見つけてください。
後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長
大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。
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