舛添知事を徹底追及2016年06月20日号
舛添知事の一連の疑惑に対する都議会の追及の場は、代表質問及び一般質問を経て13日の総務委員会に移った。舛添知事を招致しての一問一答形式の質疑では、疑惑解明の新たな事実が出てくるかが注目されたが、舛添知事の答弁は従来の答弁を繰り返すばかりだった。業を煮やした都議会各党は一気に舛添知事の不信任案提出へと舵を切り、15日の舛添知事の辞意表明を誘導したと言える。13日の質疑の内容を振り返る。
調査報告書の信ぴょう性に疑問も
〈木更津のホテルで面会したとされる人物〉
舛添知事が提出した第3者による調査報告書では、この人物は出版社社長とされているが、舛添知事自身からは詳細な説明は全くなされていない。都議会自民党の鈴木隆道理事は詳細を明らかにするよう迫った。
舛添知事は「政治家として様々な政治の場で仕事をしてきた。公式な会合だけでなく非公式な会合も重ねている。非公式な会合については政治の機微に関わることであり、出せないこともある。政治家である皆さんもこのことはご理解頂けると思っている」と、詳細を明らかにすることを拒んだ。
共産党都議団の曽根はじめ委員は、疑惑の解明のカギを握るのはホテルの領収書だと指摘、家族旅行であったにも関わらずグローバルネットワーク研究会あてに領収書を作成させた理由を質した。舛添知事は「極めて重要な政治的決断をしないといけない。これは政治活動だと認識していた」と説明した。
曽根委員はさらに「このホテルは宿泊手続きの際に予約された名前とは別に領収書名を記載することができる。家族旅行であれば舛添要一の名で領収書が発行されるはずだ」と追及した。舛添知事は「記憶していない」と明確な答弁を避け、曽根委員は厳密に調べるよう要求した。
〈美術品〉
都議会公明党の松葉多美子委員は、舛添知事が政治資金で購入している美術品を取り上げ、政治団体を利用した資産隠しであることを追及した。
都議会公明党によれば、美術品は新党改革比例区第4支部(解散)で購入したもの、グローバルネットワーク研究会(解散)で購入したもの、泰山会で購入したものがあるが、解散した2団体の美術品が現在の泰山会に所有されている理由を尋ねた。舛添知事は「解散した政治団体が所有していた資産を泰山会に引き継いだ」と説明した。
松葉委員は舛添知事の答弁にあった「資産」という言葉を問題視、「知事は政治資金で『資料』として購入したものと述べていたが『資産』と述べたことは重大だ」として、泰山会が解散した2団体の美術品を所有している平成26年の収支報告書にそのことの記載がない理由を迫った。
舛添知事は「私は個人の資産としては所有していない」と弁解。松葉委員はさらに「もらい受けた自動車は収支報告書に記載するのに、資産価値のある美術品は記載しないのは矛盾だ」と厳しく追及した。その後も収支報告書の記載ミスが政治資金規正法が禁じている「不記載」にあたる可能性があることを指摘、舛添知事の辞職を要求した。
〈第3者調査報告書の信ぴょう性〉
都議会民進党の西沢けいた副委員長は、舛添知事が調査を依頼した元検事の弁護士2名がまとめた調査報告書について追及した。
西沢副委員長は、「東京世界一饅頭」の調査結果に触れて、グローバルネットワーク研究会が購入したものは政治資金パーティで配られたものだが、パーティは同研究会が開催したものかを尋ねた。舛添知事は「調査報告書では平成27年2月17日となっており、同研究会は既に解散している。これについては詳細な資料がないため調べたい」と答弁した。
西沢副委員長はこの答弁に「私は最初、この報告書は精査に精査を尽くしたものなのかをしつこく確認している。知事自身も確認していると答弁していたではないか」と語気を強めて不快感を表し、調査報告書の信ぴょう性が疑われるものであることを示した。
不信任の猶予を訴え「リオ前の選挙はマイナス」
5時間近くに及んだ舛添知事への集中質疑、委員会の最後に、舛添知事は発言を求め、不信任案の提出に猶予を与えてほしいと要求した。
舛添知事は発言の中で「もし私に対する不信任案が可決された場合には、法律上は私は辞任するか、ないしは議会を解散するかという選択を迫られる。次期五輪開催都市でリオの時に選挙をやるというのは、国家的大事業である2020年大会にとって極めてマイナスだ。どうか少しの猶予を頂きたい。知事の座に連綿としてしがみつくということではない」と説明、理解を求めた。
発言の中で都議会の解散に言及したことが却って議会の逆鱗にふれたとの見方もあり、不信任案提出の議会の意思は固かった。舛添知事は15日午前中に辞職願届を川井しげお議長に提出した。
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