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【特集】暮らしを支え、未来の環境を創る下水道2016年06月20日号

 
東京都下水道事業経営計画2016の策定

  下水道は「汚水の処理による生活環境の改善」、「雨水の排除による浸水の防除」及び「公共用水域の水質保全」といった都市活動を支える重要な役割を担っている。
 こうした状況を踏まえ、近年では、急速に進行する下水道施設の老朽化、多発する局地的集中豪雨、今後発生が想定される首都直下地震などへの対応や、エネルギー使用量・温室効果ガスの削減、さらには、東京2020オリンピック・パラリンピックの舞台となる東京湾をはじめ海や河川などの水質改善も進める必要がある。

 下水道は「汚水の処理による生活環境の改善」、「雨水の排除による浸水の防除」及び「公共用水域の水質保全」といった都市活動を支える重要な役割を担っている。

 こうした状況を踏まえ、近年では、急速に進行する下水道施設の老朽化、多発する局地的集中豪雨、今後発生が想定される首都直下地震などへの対応や、エネルギー使用量・温室効果ガスの削減、さらには、東京2020オリンピック・パラリンピックの舞台となる東京湾をはじめ海や河川などの水質改善も進める必要がある。

東京下水道事業経営計画2016

 このような状況を踏まえ、下水道局では、「東京2020大会の開催」と「その後の東京のあり方」を見据え、下水道サービスのさらなる向上に取り組むため、平成28年度から平成32年度までの5年間を計画期間とする「経営計画2016」を策定した。

 経営計画では、「お客さまの安全を守り、安心で快適な生活を支える」、「良好な水環境と環境負荷の少ない都市の実現に貢献する」、「最少の経費で最良のサービスを安定的に提供する」の三つを経営方針として掲げ、この方針のもと、東京2020大会に向けて集中的に取り組む事業や中長期的に必要な事業を着実に推進するため、建設投資を増額し、区部建設事業費は5年総額で8千900億円としている。

 以下、経営計画の主要施策について紹介する。

主要施策の推進

◆再構築

 東京の下水道は、高度経済成長期に集中的に整備を進めたことから、下水道管をはじめとする下水道施設の老朽化が急速に進行している。

 このため、老朽化した施設の更新にあわせて、雨水排除能力の増強や耐震性の強化など機能の向上を図る再構築を計画的・効率的に推進していく。実施にあたっては、アセットマネジメント手法を用い、延命化や中長期的な事業の平準化などに取り組む。

 このうち下水道管は、整備年代の古い都心4処理区の枝線再構築を平成41年度までに完了させることを目指し、5か年で3千500ヘクタールを整備し、完了した面積の割合を現在の40から62%にアップさせる。再構築工事においては、道路を掘らずに既設下水道管をリニューアルすることができる更生工法を活用する。

◆浸水対策

 都市化の進展による下水道への雨水流入量の増加に伴う雨水排除能力の不足や、近年多発している局地的な集中豪雨により、浸水被害が発生している。

 このため、区部全域で1時間50ミリ降雨への対策を進めることを基本とし、浸水の危険性が高い対策促進地区などにおいて施設整備に取り組む。さらに、大規模地下街に加え甚大な被害が発生した市街地においては、雨水整備水準を1時間75ミリにレベルアップし、取組を強化する。

 また、東京2020大会に向け、一部完成した施設を暫定的に稼働させることなどにより、平成31年度末までに整備効果を発揮させる。

◆震災対策

下水道管の耐震化のイメージ

 首都直下地震などの地震や津波への震災対策を推進することにより、下水道機能を確保するとともに、緊急輸送道路などの交通機能を確保していく。

 ターミナル駅や災害復旧拠点などを対象として、下水道管とマンホールの接続部の耐震化や、液状化によるマンホールの浮上抑制対策を拡大して実施する。

 また、水再生センターやポンプ所については、想定される最大級の地震動に対し、震災後においても必ず確保すべき機能を維持するため、必要最低限の施設能力を確保する耐震対策を平成31年度末までに完了させる。

 このほか、非常時の自己電源の確保として、非常用発電設備の整備を進めるとともに、水再生センター・ポンプ所間で燃料を相互融通する体制を構築する。

◆合流式下水道の改善

 雨天時に合流式下水道から河川や海などへ放流される汚濁負荷量を削減するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を積極的に進めていく。これに加え、早期に導入が可能な高速ろ過施設を組み合わせることで、整備ペースを約2倍にアップさせ、平成31年度末までに、下水道法施行令への対応に必要な貯留量の9割に相当する累計150万立方メートル分の貯留施設等の整備を完了する。

◆高度処理

第二溜池幹線

 東京湾の赤潮の発生要因の一つである下水処理水のちっ素とりんを削減するため、高度処理を推進する。

 既存施設の改造により水質改善効果を早期に高めることができる準高度処理とあわせて、適用可能な施設には、これまでの高度処理と同等の水質で2割以上の電力削減が可能な、新たな高度処理の導入も進めていく。

 また、新たな高度処理を導入できない施設(浅い反応槽など)に適用可能な新技術を開発・導入するとともに、当面設備更新の予定がない施設については、運転管理の工夫により処理水質を向上させる。

◆エネルギー・地球温暖化対策

 下水道事業におけるエネルギー基本計画である「スマートプラン2014」及び地球温暖化防止計画「アースプラン2010」に基づき、エネルギー使用量や温室効果ガス排出量の削減を積極的に推進する。

 目標として、総エネルギーに占める再生可能エネルギーと省エネルギーの合計の割合を平成36年度までに20%以上とするとともに、温室効果ガス排出量を平成32年度までに平成12年度対比で25%以上削減する。

 この目標の達成に向け、太陽光発電や小水力発電など再生可能エネルギーの活用の拡大を図るとともに、エネルギー自立型の焼却システムの導入など、省エネルギーをさらに推進していく。

◆維持管理の充実

 下水道事業では、24時間365日、休むことなく稼働する大規模で多様な施設を、常に良好な状態に維持していかなければならない。

 そのため、予防保全を重視した維持管理を行い、道路陥没や機器の故障などを未然に防ぐとともに、定期的な調査や計画的な補修などにより延命化を図ることで、将来にわたって下水道機能を安定的に確保していく。

 また、道路陥没が多い42地区と東京2020大会の競技会場周辺22地区を合わせ、64地区を道路陥没対策重点地区として、平成31年度末までに対策を完了させる。

◆多様なサービスの展開

 下水道局では、技術開発や国際展開など様々な取組を進めることにより、下水道サービスの質の向上を図っていく。

 東京2020大会に向けては、発生が危惧されるテロやサイバー攻撃に備えるため、危機管理態勢の強化に取り組むほか、新たに競技会場周辺等でビルピット臭気の発生状況等を調査し、都・区の関係部署と連携して予防対策に重点的に取り組むことにより、快適な都市環境の形成に貢献する。

 また、東京駅日本橋口前の常盤橋街区での再開発プロジェクトに地権者として参画し、街区内の老朽化したポンプ所を再構築するとともに、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設を新たに整備し、その上部を民間事業者に貸し付けるなど、下水道施設の上部空間を有効活用し、街区全体のまちづくりに貢献する。

 さらに、普段目にすることが少ない下水道のしくみなどについては、多様な情報媒体等を活用して、より積極的に「見せる化」するなど、戦略的に広報活動を推進する。

 

経営基盤の強化

下水道事業を支える事業運営体制

 これらの主要施策を着実に推進し、将来にわたりお客さまに最少の経費で最良のサービスを安定的に提供していくため、公営企業の経営の原点である公共性と経済性を最大限に発揮する。

 事業運営体制については、事業実施に責任を持つ下水道局を中心として、下水道局と監理団体(東京都下水道サービス株式会社)及び民間事業者の三者がそれぞれの特性を活かした役割分担のもと協働し、連携を一層強化して下水道事業を運営する。

下水道サービスの更なる向上を目指して

 東京の下水道は、今後とも、将来にわたる東京の持続的発展に向けて大きな役割を果たしていかなければならない。

 そのため、長年にわたり培ってきた「現場力」、「技術力」、「組織力」を発揮し、職員が一丸となって、「経営計画2016」に掲げた目標の達成に向けて、下水道サービスの更なる向上を目指し、全力で取り組んでいく。

 

 

 

 

タグ:東京都下水道局 東京都下水道事業経営計画2016 

 

 

 

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