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局長に聞く90 都市整備局長2016年05月20日号
東京都の各局が行う事業を局長自ら紹介する「局長に聞く」。90回目の今回は都市整備局長にご登場いただき、木密地域の解消などを通じての東京の防災力の向上や、熊本地震への都としての迅速な対応について語ってもらった。
(聞き手/平田 邦彦)
熊本地震でいち早く職員を派遣
—都市整備局では木密地域の解消に取り組んでいますね。
かつて東京でも大地震が発生しましたが、近年では東北、現在は熊本で起きています。今、東京で地震が発生したらどのようなことが起こるかということに可能な限り思いを致し、減災に努めることが大切です。
特に木密対策は重要で、東日本大震災の発生した平成23年3月11日、私はこの局の企画担当部長でした。局内の各部署に横串を通す役割でしたから、震災に対する局内の連携や調整に従事しました。そこで生まれた施策のひとつに「木密地域不燃化10年プロジェクト」があります。当時、副知事の村山寛司さんにも実現に向けてたくさんのアドバイスを頂きました。
「木密地域不燃化10年プロジェクト」は不燃化を重点的に進める地域を都が指定しその実現を図ることと、火災の延焼を食い止める防災上の効果が高い特定整備路線の推進が柱です。この施策がスタートしたことで、木密対策が進んでいます。3月に「防災都市づくり推進計画」など、いくつかの計画を改定しましたが、プロジェクトの推進に向けてさらにアクセルを踏んでいます。特に延焼遮断帯に囲まれた内側の市街地では、区とともに防災生活道路の拡幅計画を策定し、用地費や移転補償費、更にはその道路に接する建物の建替えに対する財政支援などを行うようにしました。住宅の耐震化についても同様にアクセルを踏み出し、今年度からは助成額を従来の2倍にしました。
また、特定緊急輸送道路の沿道建築物では、その93・7%で耐震診断が完了しています。そうなると次の段階の「改修」にシフトする必要がありますから、その支援策も今年度から強化していきます。
—熊本地震の対応はいかがでしょう。
都市整備局だけでなく東京都の各局で様々な支援を行っています。
都市整備局では、被災建築物応急危険度判定員を第1陣51名、第2陣50名の計101名、被災宅地危険度判定士を3名派遣しました。 派遣された職員は皆、意気に感じて現地でも精力的に行動しています。ほとんどが自ら手をあげてくれた職員です。しかも、現地から要請があった際にすぐ応えることができました。
4月14日の最初の揺れの1時間後、担当部長から、「こういう対応を考えたい」と電話連絡がありました。私自身、少々の旗振りはしましたが、こうした個々の職員の心意気とそれぞれの行動に感謝しています。
患者さんの治療にとどまらず、退院後の地域での生活や、ご家族への支援までも見据えて、患者サービスの向上を図っていきたいと思います。
BRTの導入に向け検討開始
—五輪開催まであと4年です。
我々としては選手村の整備が大きな目標です。さきごろ都が施行する市街地再開発事業として認可を取得しました。まずは具体的なスタートを切ることが重要だと思います。
住宅戸数は約5650戸で、そのうちの分譲棟では水素を利活用した家庭用燃料電池を設置することにしています。
4月には事業に着手し、大会時に必要な部分は、平成31年までに先行整備します。さらにエネルギー計画や交通計画、晴海ふ頭公園の再整備についても一体的に取り組み、大会後の選手村を持続可能な成熟都市のモデルとして整備することにしています。
—BRTの導入に向けた取り組みは。
BRT(バス・ラピッド・トランジットの略)とは、バスを使用した大量輸送の手段で、新しい都市交通のあり方として注目されています。都では、都心から勝どきを経由して臨海副都心に至る地域で、選手村の後利用などの対応のためにBRTの導入に向けた検討を行っているところです。この地域は開発需要などが見込まれており、環状2号線を活用することになります。4月からバス停などの設計の契約手続きに入りました。
バリアフリーに対応するための取り組みや、発着時のスムーズな加速や減速を可能にする技術などを取り入れます。デザイン性も取り入れた新しい交通システムの先駆けになればと思います。
3環状道路の整備も2020年にはその約9割が完了する見込みとなっています。都市計画道路については、3月に第四次事業化計画を策定しました。現在事業中の路線に加え、優先整備路線が完成すると骨格幹線道路の約9割が完成することになります。補助幹線道路もその約7割が整備されます。
このように、道路整備が進み、先の時代が見えるようになってきました。このような道路ストックを生かし、道路空間の新たな利活用の先駆けとしても、このBRTが位置づけられるのではないかと期待しています。
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