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大庭麗のイタリア食材紀行 第24回2016年05月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

第24回 旬の美食の祭り“サグラ”

 

 年間を通じて多くの食のイベントがある美食の国、イタリア。ラテン語で神聖を意味する言葉“sacrum”を由来とし、古くは神に動物や収穫物を捧げ、感謝の意を表すために行われてきた伝統的な祭りの儀式“サグラ”は、今日では美食のサグラとして各地に残っています。

 現在、イタリア各地で行われる多くのサグラでは、ひとつの食材を特化し、その生産者や食材を調理したブースが集結して人々をもてなします。

今年で24回目を迎えるカンティーネ・アペルテ。

今年で24回目を迎える“カンティーネ・アペルテ”。この日は普段は入ることのできないワイナリーの内部も見学できる

 初夏のこの時期は、旬のアスパラガスやソラマメとペコリーノチーズのサグラ、海沿いではシャコとスミイカのサグラ、北部のトリノでは細長いスティック状のパン、グリッシーニのサグラ、ローマでは猪肉のソースのパッパルデッレ(太めのきし麺パスタ)と、さまざまなサグラが開かれます。

 季節や地域によって、ポルチーニ茸やトリュフ、チーズやサラミ、蜂蜜や栗、秋冬にはジビエなど、バリエーションに富んだサグラは、ほぼ毎週末、各地で開催されています。

 毎年5月の最終日曜日には、イタリア各地のワイナリーを一般に開放する“カンティーネ・アペルテ”と呼ばれるイベントがあります。イタリア全土で、ワイン・ツーリズム協会の会員となっているワイン生産者が、葡萄畑やワイナリー、セラーを特別に公開し、葡萄の育つ環境、醸造過程や生産者の考え方を垣間見ながらワインを試飲したりと、五感を使ってワインを楽しむ一日です。

 イタリアワインの世界をより深く、身近に感じてほしいとの想いが込められたこのイベントは毎年大盛況で、海外からそのためにイタリアを訪れる人々も増えているそう。各種のサグラやカンティーネ・アペルテに合わせて旅を計画し、美味しい料理やワインを満喫するのもおすすめのイタリア滞在です。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 サグラ sacrum カンティーネ・アペルテ

 

 

 

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