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大庭麗のイタリア食材紀行 第23回2016年04月20日号
第23回 世界に流通する約4分の1のシェアをもつイタリア産キウイ
イタリアの果物と言うと、オレンジをはじめとした柑橘類を一番に思い浮かべそうですが、実はキウイフルーツも有名です。キウイは、その名の由来となった、そっくりな容姿をした鳥が生息するニュージーランドのシンボルでもありますが、原産地は中国南部の長江。学名はアクティニディア・デリチオーザ(Actinidia deliciosa)で、美味しいマタタビを意味する、マタタビ科の植物です。
棚仕立てや、垣根仕立てといったブドウ栽培と同様の栽培方法に馴染みがあったこともあり、イタリアでは1970年以降、キウイの生産が盛んになりました。
生産量は、世界シェアの約半分を持つ中国に続き、世界第2位。年間約50万トン、ヨーロッパをはじめ世界中に流通するキウイの約4分の1はイタリア産です。
北から南まで国内ほぼ全域でキウイの生産が行われていますが、首都ローマの位置する中部のラツィオ州には“キウイ・ラティーナ”と呼ばれる特別なキウイがあります。
これは、イタリア国内で唯一、EUが定めた特定地域で栽培・収穫された農畜産物の保護地理表示“I.G.P.”に指定されているもの。古代ローマ遺跡“コロッセオ”を模したキウイのイラストがそのシンボルマークです。
水はけの良い火山性砂質の土壌が特徴のこの地域では、ミネラル分が豊富で、苗木は根を深く張り巡らせ豊富な栄養素を蓄えます。
温暖湿潤気候で知られる原産地の中国長江と気候が似ており、夏場の湿度は75%を超し、昼夜の寒暖差が大きいことで、適切な完熟とバランスの取れた酸味と高い糖度の果実が実ります。発色の良い薄いエメラルドグリーンの果肉に放射状に散りばめられた細かな無数の種を持ち、柔らかな口ざわりがその特徴です。
果肉の緑色は血液中のコレステロールを下げる働きや、解毒作用が期待できる葉緑素(クロロフィル)。優れた栄養バランスと強い抗酸化作用を持つ、イタリアを代表するスーパーフルーツです。
<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>
東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。
タグ:大庭麗 イタリア産キウイ キウィ・ラティーナ