HOME » サイトマップ » 加藤麗のイタリア食材紀行 記事一覧 » 大庭麗のイタリア食材紀行 第19回

大庭麗のイタリア食材紀行 第19回2015年12月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

 

第19回 EXヴァージンオリーブオイルの“ノヴェッロ”

 

 イタリア語で、できたてを意味する言葉“ノヴェッロ”。イタリアでは10月末に解禁されるワインの新酒もノヴェッロと呼ばれますが、残念ながら多くのイタリア人は、ボジョレヌーヴォーのような新酒にはあまり興味がないようです。

 しかし、冬の始まりとともに、そのシーズンが訪れる初摘み、初絞りのEXヴァージンオリーブオイルのノヴェッロを楽しみに待ちわびる人はとても多く、「焼きたてのパンとノヴェッロがあれば、それだけで至極」と言われるほど、その風味豊かなノヴェッロは特別な存在です。

ルッコラ

でき上がったばかりのノヴェッロのオイル。この時期、フラントイオ(製油所)にはオリーブの爽やかな香りが充満する

 収穫後、短時間で劣化が進んでしまうオリーブの実。良質なEXヴァージンオリーブオイルは、収穫後すぐさまフラントイオ(製油所)に搬入され、コールドプレスと呼ばれる低温での温度管理下で、劣化を防ぎながらその日のうちに搾油されます。まず枝や葉を取り除き、洗浄して汚れを落とした実を潰し、ペースト状にした果肉と種を、遠心分離機で固形分と液体に分けます。

 そして、まさにオリーブの実のジュースとも言えるその果汁を、別の遠心分離機にかけ、植物性水分を抜き取ることでオイルが残ります。白濁した黄緑色をしたこの状態のオイルは、まだ微量の果肉繊維を含んでおり、時間の経過とともに沈殿するそれは、その後のオリーブオイルを劣化させる原因になり得るため、通常はさらにフィルターにかけられます。

 しかし、オリーブの果実のフレッシュで自然な風味を直に感じ、できたてを楽しむノヴェッロのみは、フィルターでは漉さず、若干白濁した状態のオイルを味わいます。

 EXヴァージンオリーブオイルは、生きた植物性の酵素を含み、ビタミンEやオレイン酸をはじめ、葉緑素にポリフェノール等の豊富な栄養成分を含みます。

 残念ながらEXヴァージン以外のオリーブオイル、ピュアオイルなどは、クオリティーの低いオリーブオイルを化学的に薬剤を用いて精製しており、その処置とともに本来の栄養成分は取り除かれてしまっています。

 美味しさと健康を考えると、やはり自然のままのEXヴァージンオリーブオイルを選びたいものです。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 EXヴァージンオリーブオイル ノヴェッロ フラントイロ

 

 

 

定期購読のご案内

NEWS TOKYOでは、あなたの街のイベントや情報を募集しております。お気軽に編集部宛リリースをお送りください。皆様からの情報をお待ちしております。

都政新聞株式会社 編集室
東京都新宿区早稲田鶴巻町308-3-101
TEL 03-5155-9215  FAX 03-5155-9217
一般社団法人日本地方新聞協会正会員