耐震診断が順調に推移2015年11月20日号
東京都は高度な防災都市の実現に向け、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推し進めているが、17日に開かれた耐震化推進都民会議(会長・樋口富雄東京海上日動火災保険株式会社名誉相談役)で、耐震診断が対象となる建築物の約93%で実施されていること、さらに耐震化率が80・4%に達していることなどが報告された。都は来年1月にも耐震キャンペーンを実施することとしており、耐震化を推進する考えだ。
耐震化推進都民会議は、建物の耐震化の機運を盛り上げ、耐震化を一層推進するため、平成20年に第一回目の会議が開催された。年2回の開催で今回が16回目となる。
樋口会長は冒頭、「大型台風の上陸や地震、火山の噴火など、日本は今年、多くの災害に見舞われた。高層ビルや地下鉄で被災したらどうするか、東京で現実に起こりうる状況を想定してまとめられた冊子『東京防災』は、都民からの評判もよく、防災意識の向上に役立つものと思う。この機をとらえ、民間と行政が一体となって耐震化の必要性を広く普及し機運を高めていきたい」とあいさつした。
東京都の取り組みだが、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断については、対象となる建築物の約93%で実施されている。
また、改修については前年度を上回るペースで件数が伸びてはいるものの、目標の達成にはさらなるペースアップが求められることから、耐震化の進捗状況を都民の目に見える形で実施する。その取り組みとして、今年9月から、耐震改修を実施している建築物の工事現場に「耐震改修工事中」のマークを掲示している。
なお、耐震診断が実施されていない特定緊急輸送道路沿道建築物については、これまで209件の建築物を公表した。
東京都は毎年、夏と冬に耐震キャンペーンを実施しているが、今度の冬の耐震キャンペーンを来年1月15日から28日まで実施することも決定した。都庁第1庁舎5階では、耐震フォーラムの開催、耐震化個別相談会の開催、震災写真等の展示を行う。本所防災館での体験バスツアー、耐震改修事例見学会、マンション耐震セミナーの実施などを通じて、広く都民に耐震化の必要性を訴えることとしている。
この日の会議では、参加している関係業界団体の取り組みも報告された。全国住宅産業協会(会長・神山和郎日神不動産代表取締役会長)では、東日本大震災により会員の意識に変化が生じ、それまでの義捐金贈呈から、首都直下地震に備えて協会として対応する仕組みを構築した。耐震化実践アプローチセミナーの開催や個別相談など、積極的な活動を展開していることが報告された。
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