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大庭麗のイタリア食材紀行 第18回2015年11月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

 

第18回 クレオパトラの美容食でもあった野生のルッコラ

 

 秋のイタリアで、久しぶりに群生している野生のルッコラを見かけました。和名を黄花蘿蔔(きばなすずしろ)と言うその名の通り、アブラナ科の黄色い花が咲きます。

 昨今、日本でもセルバチカと言う名で売られているルッコラ。その名は、イタリア語で野生を意味する“セルバティカ”から来ているようです。ロケット菜と呼ばれる通常のルッコラよりも濃い緑色の小さな葉が特徴で、イタリアでは、ルーコラと呼ばれます。

ルッコラ

この時期、まるで黄色い絨毯のように咲く野生のルッコラの花

 アジアから地中海沿岸を原産とするルーコラ。イタリア南部の郊外に行くとしばしば、原生する野生のルーコラを摘んでいる人を見かけます。原来、生育する際の水分が少なければ少ないほど、辛味成分が強まる傾向にあり、乾燥して干からびた大地に群生する野生種ほど、その辛さが凝縮されて美味しいとされ、イタリアの人々にはより好まれています。

 生の大根などにも含まれるこの辛味成分、アリルイソチオシアネートには、胃液の分泌を促す健胃効果があり、消化不良を改善します。また葉酸をはじめとしたビタミンB群を多く含むため、妊婦さんにも勧められるほか、豊富なビタミンA(βカロテン)や各種ビタミン群、カルシウムと、その栄養素から多くの薬効でも知られます。

 特に、その豊富なβカロテンとビタミンCの結合で、強い抗酸化作用を発揮することから、免疫力の向上や、感染症の予防、美肌効果などがあるとされ、若さを保つ野菜と呼ばれ、古代エジプト時代には、クレオパトラの美容食のひとつだったそうです。また、ローマ帝国時代には、食用のほか媚薬として用いられていたほか、安眠効果やリラックス効果があることから、ミントやカモミールなどと一緒に、寝る前のハーブティーとして現在も親しまれています。

 このように多くの効能を持つルーコラ。イタリアでは、緑色の濃いルーコラこそ、これらの栄養素が詰まっていると言われ、決して退色した薄い黄緑色になったルーコラは食べてはいけないと言われます。

 


大庭麗

<大庭 麗(おおば うらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 ルッコラ ルーコラ

 

 

 

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