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局長に聞く82 生活文化局長2015年09月20日号
生活文化局長 多羅尾 光睦氏
東京都の各局が行っている事業について局長自らが紹介する「局長に聞く」。82回目の今回は生活文化局長の多羅尾光睦氏。「東京文化ビジョン」の実現に向けた取り組み、私学振興、消費者行政などについてお話を伺った。
(聞き手/平田 邦彦)
障害者アートの振興に意欲
—局長に就任なさってひと月半経過した現在の心境は。
「生活文化」とひと口に言っても、広報広聴、男女平等参画、消費生活、私学、文化など、事業内容は実に多岐にわたっているというのが率直な感想ですね。しかしどの分野も都民生活に密着しており、豊かで安全・安心な都民生活の実現のために不可欠な事業を行っていると実感しています。
—「東京文化ビジョン」の実現に向けた取り組みや意気込みは。
3月末に策定された「東京文化ビジョン」は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催やその後を見据えた、今後の芸術文化振興の基本指針です。世界の都市ランキングで、東京がなかなか3位以上に上がれない要因には、やはり文化があるのかなと思っています。ですからビジョンの着実な実施は喫緊の課題だと認識しています。
スポーツとともに、東京を国際的な芸術文化都市としてより成長させていくために、これからの5年間は極めて大切な時間となります。
既にある東京の大きな文化的ポテンシャルをさらに発展させていく、またはそれを世界に発信していくなどの多様な視点からの取り組みがありますが、五輪後も視野に入れて、若手芸術家の育成やアール・ブリュット振興などのテーマに息長く取り組めるよう道筋をつけていくことが重要です。
—「アール・ブリュット振興」についてもう少しご説明を願えますか。
これは「東京文化ビジョン」の主要プロジェクトのひとつです。フランス語で「正規の美術教育を受けていない人によるありのままの芸術」という意味ですが、日本では知的障害者が作成した芸術作品というとらえ方もされています。山下清さんの絵画が有名ですね。
東京都現代美術館にアール・ブリュットの発表の場を設置するなど、都立文化施設が民間文化施設等とともに「障害者アート」の東京としての存在感を発揮していくことに努めていきます。
—文化施設の改修が進められていますが。
改修は計画的に実施しており、東京都芸術劇場や東京都美術館などが改修されました。
今後、ソフト、企画の面でより魅力を高め、多くの方に来場してもらえるようにしたいです。
舛添知事も述べていますが美術館の共通券の発行や開館時間の延長など、都の文化施設や企画内容をより楽しんでもらう施策を充実させていきます。
今月から悪質商法対策を実施
—私学振興は生活文化局の大きな事業ですね。
私学振興は都政の最重要課題のひとつです。
東京では高校で6割の生徒が私学に在学し、幼稚園や専修学校に至っては9割以上が私学に通っているという特徴があります。
私学は人数の面において、東京の教育に重要な役割を担っているとともに、将来の我が国を支える多様な人材育成の面でも、なくてはならない存在です。
それぞれに深い意義のある建学の精神や特色ある教育内容を各学校等が存分に発揮できるよう、リアルタイムで私学のニーズにきめ細やかに対応し支援していきます。経常費補助をはじめとする学校助成や保護者負担軽減等の施策を実施し、私学振興の基盤をしっかり支えていきます。
—消費者行政ですが、高齢者や若者の被害が後を断ちません。
古くて新しいのが消費者行政です。これまでも都は全国の自治体の中でも先頭に立って消費者相談や消費者教育に積極的に取り組んできましたが、社会経済情勢の変化により常に新たな課題が発生しているのが現状です。
特に近年では、高齢化の進展とともにひとり暮らしの高齢者が増えているため、トラブルに巻き込まれるケースが増加しています。また、スマホに代表される急速な情報技術の発達は若者から高齢者まで、利便性の反面として多くの消費者問題を引き起こしています。
そこで9月から11月までの期間、宅配事業者等と連携して高齢者世帯を対象にした「悪質商法注意喚起プロジェクト」を実施しています。
これは高齢者世帯に商品やサービスを提供する宅配事業者が、悪質商法に関するリーフレットを手渡しすることで、高齢者の被害を未然に防止しようという取り組みです。
消費生活に無縁な都民というのはいません。これらの問題は日々の生活の中で生じるのです。こうした課題に関係各局や区市町村とも連携して適切に対応し、安全安心な都民の生活を守っていく考えです。
—その他、取り組むべき課題があれば。
少子高齢社会がさらに進展する中、地域の活性化のためにも多くの都民の方々にボランティア活動に参加してほしいと思います。これは五輪の成功にも欠かせません。
わかりやすいボランティア募集情報の提供や、自分の都合に合わせた短い時間でも参加できる機会の提供など、東京のボランティア文化の振興のための施策展開を進めていきます。
また、東京都の広報広聴の全体的な窓口として、都民の方々へ分かりやすい都政情報の発信や、都政に関する意見や要望を正確にキャッチすることも不断の課題です。男女平等参画についても今後、施策を深めていきます。
タグ:東京都生活文化局 東京文化ビジョン アール・ブリュット振興 私学振興