新国立競技場問題で論戦2015年06月20日号
都議会第2回定例会が9日開会し、舛添知事が所信表明を行った。この中で知事は、2月の第1回定例会で表明、すでに検討に着手している「都市づくりのグランドデザイン(仮称)」に加え、2040年代の東京の生活像を展望した長期構想として、「東京のグランドデザイン(仮称)」の策定に向け検討を始める考えを明らかにした。
今月中にも有識者や専門家による検討委員会を立ち上げ、医療福祉、芸術文化、科学技術など広範な議論を展開していくとしている。
さらに、知事は新国立競技場の建設をめぐり、下村文科大臣が都に500億円の負担を求めている問題について、「国が危機感を持って整備に取り組まなければ、日本全国、世界中の期待を裏切ることになり、開催都市の知事として、看過することはできない」と批判した。都の負担については「国立競技場は『国立』である以上、建替えは原則として国の費用で行うべき」と述べる一方、「政府がしっかりと対応するのであれば、東京都としても、できる限りの協力をしていきたい」と含みを持たせた。
自民が知事の姿勢に苦言
16日に行われた代表質問では、各会派が新国立競技場問題を取り上げた。
自民の林田武氏は、知事の度重なる政府批判が解決に向けた協議の障害になっているとの認識から、「都政の役割は国との対立構図を演出することではなく、五輪を成功させることだ」と苦言を呈し、「より大局的な見地から国と都の関係を構築すべき」と質した。これに対し知事は「オールジャパンで英知を結集し課題を解決することが重要だ」として、国との信頼関係を強化し、密接に連携していく考えを示した。
公明の松葉多美子氏は、「オリンピックそのものに泥を塗る事態と言っても過言ではなく、国際的な信任にも影を落とす」と懸念を表明、「都に財政支援を求めるのであれば、国は都民・国民が納得する明確な理由と根拠を示すべき」と指摘した。
共産の植木こうじ氏は、「知事が『国立である以上、国の費用で行うべき』との姿勢を示したのは当然」として、設計を見直して国の責任で整備すべきとの考えを示した。
民主の斎藤あつし氏は、「何も説明のない現状では、都は負担すべきではない」として、まずは国が正確な建設費などの情報を明らかにすべきと主張した。
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