新宿ターミナル協議会が発足2015年06月20日号
世界有数のターミナルである新宿駅周辺を、よりわかりやすく使いやすい、利用者本位のターミナルとするため、国、都、新宿区、各鉄道事業者、バス事業者、タクシー事業者、駅ビルや地下街の管理者などの関係者による「新宿ターミナル協議会」(座長・岸井隆幸日大大学院教授)が3日発足した。外国人観光客の増加等を踏まえ、案内サインの簡素化、バリアフリー化の推進、周辺案内図の統一化などについて検討を進める。初回の会議には舛添知事、吉住健一新宿区長が出席、会議への期待を表明している。
新宿駅周辺のターミナルは、甲州街道沿いの大江戸線新宿駅から西武線の西武新宿駅までの南北約1キロ、東西約500メートルの範囲に12の鉄道が乗り入れている他、バス路線も59路線ある。またタクシー乗り場も3箇所あり、一日の利用者数は358万人に達する世界最大の規模。
地上と地下には複雑な歩行者ネットワークがある。大江戸線新宿駅ホームから甲州街道のJR南口または小田急線南口に至るには、地下7階から地上2階まで、9層構造を移動する必要がある。
これほどの規模を有する新宿駅周辺のターミナルを移動するには案内サインが不可欠だが、共用空間での案内サインが設置者ごとに異なっている、視覚障害者誘導用ブロックが設置されていない、駅構内図が作成した事業者のみが示されていて他社とのつながりがわかりにくい、などの課題が指摘されている。
会議の冒頭であいさつした舛添知事は「2020年のオリンピック・パラリンピック大会を控え、誰もがわかりやすく使いやすい新宿ターミナルの実現を目指したい。日本語がわからなくても迷わずに移動できることが重要だ」と期待を寄せた。
新宿区の吉住区長は「現在、新宿駅では2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催と時を同じくして、東西自由通路の供用開始を目指し工事が進められている。区は東西自由通路の整備や、街づくりに関する地元の動き、歩行者を中心とした駅前広場の再整備、周辺地域でのまちづくりを進め、新宿ブランドを築き上げていきたい」とあいさつ、新宿ブランドの確立にターミナルの整備が不可欠と強調した。
会議では交通結節点のあるべき姿として、「人々が誇りに思う駅の実現」が提示された。
新宿駅など首都圏の主要駅には今後、誇りと美しさなどの「成熟性」が求められるとして、案内サインの標示をできるだけシンプルにすること、鉄道の乗り換えサインを、これまでの日本語、英語、中国語、韓国語表記から、万国共通の数字に変更することなどが提案されている。
協議会は今後、27年度中に課題解決のための対策を決定、28年度以降は2020年を目指した整備計画を策定、改善策を順次実施する。
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