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NIPPON★世界一 The75th2015年06月20日号
日本にある世界トップクラスの技術・技能-。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。かつて業務中の音声通話は無線機が主流だったが、その主役の座は今や携帯電話、特にスマートフォンに取って代わられた。ただ、業務中の通信においては決して万全という訳ではなく、むしろ無線機ならではの長所も見直されている。そんな時流にのって現れたのが、その両者の長所を併せ持つ、新しい音声通話システムである。
(取材/種藤 潤)
イヤホンとスピーカーの2タイプの専用アクセサリ。そのいずれかを自身の持つスマートフォンなどに差し込み、専用アプリをインストールすれば、準備はOK。これだけで無線機同様の音声通話が可能になるというのだ。
『Aldioクラウド』という名前通り、スマートフォンなどでインターネットを経由し、クラウドサーバを中核に音声データを運用。結果、無線機と同様のIP無線通信を可能にするサービスだ。一見すると、スマートフォンなどにイヤホンをつけて通話しているだけのように見えるが、実態は明らかに異なり、その機能性はビジネスユースはもちろん、緊急時の防災にも活用できるのである。
一斉連絡が可能でハンズフリーで通話できる
『Aldioクラウド』の持つ機能性を、同社の佐々木悠さんが、携帯電話と比較しながら説明してくれた。
「携帯電話は基本的に一対一の通話ですが、このシステムは無線機同様一斉に複数の相手に連絡が可能です。『Skype』でも最大25名前後と同時通話できますが、このシステムは数千名への一斉連絡にも対応可能です。
また、ハンズフリーで通話できる点も特徴です。携帯電話だと片手が塞がり、作業がしにくくなりますが、このシステムは本体を持たなくていい上、通話時に本体に触れずに操作できるので、完全ハンズフリー化が実現します」
当然、こうした長所ゆえ、両手作業が基本の現場などでは今も重宝されている訳だが、専用端末とアンテナなどの設備を自前で用意しなければならず、初期投資や運用コストもかかる。そのデメリットをスマートフォンなどで利用しているインターネット回線を用いて解決したのが、『Aldioクラウド』なのである。
「すでにスマートフォンなどがあれば、専用アクセサリ代とクラウドサーバ代だけで、すぐに運用が可能です。もちろんスマートフォンなどがなくても、それらをセットにしたメニューもあります。近年、スマートフォン自体非常に低価格になったので、無線機に比べれば遥かに低コストでの導入が可能です。しかも弊社では、軍事規格基準の堅牢なスマートフォンも格安で入手できるので、耐久性を高めることもできます」
ビジネスユースにも耐えうるタフな機能性も特徴
実はこうしたサービス、国内ではまだ少ないが、海外ではアメリカを中心に多く見られるという。同サービスでも専用アクセサリは海外のメーカー品を使用しているが、その質の高さにも自信があると佐々木さんは言う。
「他メーカーの機器は防水機能がなかったり、壊れやすかったり、バッテリーがもたなかったり、機能性に問題がありました。その点をクリアした最高峰の機器が、弊社が採用しているフィンランド製の専用アクセサリです。どんな状況でも通話しやすく、かつ壊れにくいので、あらゆる場面で安心して使用していただけます」
そしてシステム面の運用にも自信がある、と佐々木さん。というのも、もともとはIoT(あらゆるモノがインターネットにつながること)・ビッグデータなどのデータベース技術を中核としたパッケージの販売・サポートとコンサルティングが同社の専門。ビジネスユースにも耐えうるタフなシステム構築はお手のもので、その姿勢は『Aldioクラウド』にもしっかりと息づいている。
「ビジネスでは長く継続的に、いざという時でも使える事が基本。そうした通話環境が欲しいという声は、コンサルティングの立場として常々耳にしていました。そこでニーズに対応するサービスとして『Aldioクラウド』事業に着手したのです」
バックアップサーバも設置
災害時でも通話できる
さらに『Aldioクラウド』では、遠隔地にバックアップ用のサーバを設置、災害時でもサービスを継続できる体制を構築しているという。
「4年前の東日本大震災を思い出していただければわかりますが、あの震災直後、都内でも携帯通信はパンク、ほとんど通話できませんでした。しかしこのシステムを用意しておけば、災害時でも関係各所と連絡が取れる状態が確保できます」
だからこそこの機能性を、企業などが危機管理対策として導入するだけでなく、地域の防災を担う自治体に活用してほしいと、佐々木さんは熱く語る。
「このシステムはGPS機能と連動させることもでき、それぞれの位置情報も把握できます。さらに緊急時にはオフラインでも強制的に呼び出すことも可能です。こうした機能を用いれば、災害が起こった際の地域住民への緊急連絡網になります。どのご家庭でも一家に一台スマートフォンなどがある時代。それらと連動した導入を検討いただきたいです」
佐々木さんの言う通り、震災時の都内の情報網の混乱は、まだ記憶に新しいだろう。そうならないためにも、特に東京こそこの新たな通話システムの導入が検討されるべきなのかもしれない。
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