都内統一地方選結果2015年05月20日号

維新が江東で５議席確保

　統一地方選において各党が擁立した区市町村議員選挙の候補者と当落の結果は右下の図の通り。

　自民は４８１名を擁立し４１７名が当選、６４名が落選した。平成２３年の都議選で候補者５９名全員が当選し、政権復帰に至った勢いと安倍政権の支持率を背景に、安定した選挙戦を展開した。

　公明は選挙の強さに定評があり、候補者の全員当選が至上命題。「地方の創生を誰に託すか」をテーマに臨んだ今回の統一地方選では、２７２名の候補中２７０名が当選したが、江東区、板橋区で各１名が落選という予想外の結果となった。

　共産は「安倍政権の暴走政治ストップ」をテーマに掲げ、統一地方選の前半戦の４１道府県議会議員選で８０議席から１１１議席と３０議席以上を獲得する勢いを見せた。

　統一地方選後半戦でもその勢いを維持、２０５名の候補者中、２０３名が当選を果たしている。２１区の区議選では１２８名が当選し、市町村議員選では７５名の候補全員が当選した。

　政権交代以後、凋落傾向に歯止めがかからない民主は、統一地方選前半戦終了後に都連が談話を発表、「この統一選を党再生に向けた足場を固める選挙と位置づけ、候補者一人ひとりが地域で地に足の着いた戦いをすすめ全員当選を目指す」と引き締めを図ったものの、今回も議席を減らした。

　１５１名の候補者中、当選したのは１２４名で落選候補は２７名。７名を擁立した世田谷区では新人３名が落選、新人候補にとっては狭き門となった。その一方で目黒や杉並では６期、４期のベテランが落選する波乱も。

　維新の党は議員定数の削減や議員報酬の削減など「身を切る改革」の必要性を主張、区部で４３名、市部で１４名の計５７名を擁立、３５名が当選、２２名が落選という結果となった。

　柿沢未途衆院議員と野上ゆきえ都議会議員のお膝元である江東区では、推薦候補も含め６名を擁立、５名の当選を果たし存在感を示した。

　ネットは２８の自治体議員選挙に５１名を擁立、「ひとりにしない子育て・介護―支えあい分かちあう地域社会へー」をスローガンに選挙戦を展開した。

　その結果、江戸川区や品川区、狛江市や八王子市などで議席を得たものの、これまで２４年間議席を有してきた国立市では、擁立した３候補全員が落選するという波乱となった。

　統一地方選の結果を受け、来年夏の参院選、２年後の都議選へ各党がどのようなスタンスで臨むのかが今後の注目点となりそうだ。

渋谷区長選は予想外の結果に

　都内の首長選は１１区、６市、２町村で実施され、再選を目指した現職が全員当選を果たした。現職の強さを改めて誇示した格好だ。

　今回、民主が独自の候補者の擁立を行わなかったことから、自民が推薦する候補と共産が推薦する候補との一騎打ち、またはそれに加えて無所属候補との三つ巴という構造となり、有権者の関心があまり高まらなかった一面もある。

　区長選では、多選批判から自民が候補を擁立した中央区で現職の矢田美英氏が８選を果たした。また世田谷区では、現職の保坂展人氏が自民党推薦の対立候補を圧倒的大差で退け２期目の当選を果たした。

　今回の区長選で最も注目を浴びたのが渋谷区長選。現職桑原敏武氏の勇退を受け、新人４名の争いとなった。

　立候補したのは前区議で桑原氏の後継指名を受けた長谷部健氏、元都議の矢部一氏、前都議で都議会自民党幹事長だった村上英子氏、寺社管長の今城陸人氏の４名。

　区長選直前の区議会で、同性カップルに対して結婚に相当する証明書を発行する条例が可決されたが、この条例を推進してきた長谷部氏が大方の予想を覆し初当選を果たし、自民と公明の推薦を受けた村上氏が涙を飲むという結果となった。

　なお自民は中央、世田谷、渋谷の３首長選を重点区に位置づけ、組織をあげて推薦候補の当選に向けて取り組んだが、いずれも惨敗という結果になっている。特に渋谷は都議会幹事長の出馬ということで、絶対に負けられない選挙だった。

　市長選では三鷹、東村山、国立、東大和、清瀬、稲城の６市でいずれも現職が再選を果たした。檜原村でも現職が再選されている。

　大島町長選では自民と公明が推薦する新人が、共産が支持する現職を破り初当選を果たした。

タグ：統一地方選挙