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局長に聞く76 監査事務局長2015年03月20日号
監査事務局長 石原 清次氏
東京都の各局が行う事業のポイントを局長自らが説明する「局長に聞く」。76回目となる今回は監査事務局長の石原清次氏。監査事務局は東京都の行政サービスを監査の視点からチェックする組織。その内容を紹介して頂いた。
(聞き手/平田 邦彦)
都政への都民の信頼感を確保
—監査の仕事とは。
監査の際、我々が重視するのは合規性です。法律や規則などに適合した業務を行っているかを判断します。さらに、業務がより少ない費用で実施できないかを判断する経済性、政策目的に対して手段が十分に効果を上げているかを判断する有効性、費用対効果をより高められないかという効率性の観点からチェックしています。このようにして都政に対する都民の信頼感、行政サービスの品質を確保する手段が監査です。
東京都の監査委員は5名です。都議会から2名、企業経営の経験者や公認会計士など識見を有する委員3名の計5名が、様々な観点から監査を行っています。
東京都の予算規模は13兆円、職員数は16万人を超えます。これだけ所帯が大きいのですから、監査も多岐に亘ります。監査事務局は監査委員を補助する立場にあり、89名の職員で業務にあたっています。
—ハードな業務ですね。
監査にも様々な種類があり、年間を通じて各種監査を実施しています。
まずは基本的な監査となる「定例監査」があります。この他に外郭団体に対する「財政援助団体等監査」、テーマを決めて局横断的に実施する「行政監査」のほか、「工事監査」、「決算審査」などがあります。住民監査請求も扱います。
工事監査は、都が行う工事を設計、積算、施工などの技術面から監査しています。局内に技術監査課を設置し、土木、建築、機械、電気といった技術職員を配置しています。課として組織を立ち上げて技術面から検証しているのは全国的にもあまり例がありません。監査というと書面だけと思われがちですが、実際には現場に赴いて行うことも多いのです。(写真参照)
—監査にはどれだけの強制力があるのですか。
監査の結果、何らかの問題点があれば、「監査指摘」という形で指摘をします。指摘には法的強制力はありませんが、その内容は議会に報告されます。さらに監査委員から指摘を受ければ、各局は改善措置を講じ、それを議会に報告することになっています。
よりよい都政の実現を目指す
—議会のチェックを受けることで監査の実効性を確保しているわけですね。
そうです。監査の仕事のもうひとつの柱は、明らかになった問題点の改善です。
監査事務局では年2回、各局に指摘事項の改善状況について報告を求めて内容を確認しています。誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直しなど再発防止の徹底が図られているかを詳細に確認し、フォローアップしています。
このようにして改善が図られても、同じような指摘が他の部局で繰り返されないように、都庁全体に水平展開していかなければなりません。
そのため、全庁横断的に発生しがちな指摘事例を類型化した「監査指摘事例集」を作成し、各局の担当者向けに事務説明会を年2回開催するなど、各局における事務改善を促しています。
ある局のある部所に対する指摘は、他の局、他の部所にも当てはまるかも知れません。他人事ではなく、自分のこととしてとらえてほしいですね。
—先ほどのお話にもありましたが、各局の措置は議会に報告されるのですね。
はい。各局が講じた措置は議会報告されます。過去3年間に行った指摘について見てみますと、各局が改善に努めた結果、これまでに約92%が改善済みとなっています。
—最後に職員の方々に対してひとこと。
限られた期間の中で計画的・効果的に監査する必要があるため、実際の監査では、職員が複数のグループに分かれて一斉に監査に入ります。問題点が発見されたら、同様の事例がないか全員で共有し、横串をさして検証を深めることや、チームワークも求められます。各局事業についての深い理解、資料を読み解く力なども不可欠です。
私は職員に常日ごろ言っているのですが、監査は各局事務事業をチェックし、改善を求めることでよりよい都政を実現しようとするもので、手段は違っていても目指すところは各局と同じです。各局には監査対応で時間や労力をかけることになりますが、よく話を聞き、もれなく正確に事実をきちんと集め、原因分析を行うなど掘り下げて検証をしてほしいですね。
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