第1回定例都議会開会2015年02月20日号
第1回定例都議会が18日開会し、舛添知事が施政方針演説を行なった。猪瀬前知事の突然の辞職を受け、昨年2月に都知事に就任して1年。前知事のもとで策定された平成26年度予算とは違い、平成27年度予算は舛添知事のもとで編成された初の本格予算となるだけに、活発な質疑が期待される。会期は3月27日までの38日間。
舛添知事が施政方針演説
施政方針の冒頭、知事は自身が考える政治・行政の役割について「『機会の平等』を追及すべきだ」と主張、「『結果の平等』を推し進めればモラルハザードを招く」として、真面目に生きる人が必ず報われる公正な社会を築いていく決意を改めて表明した。
来年度予算案については「私の政治の原点である福祉分野は1兆1千億円を超え、構成比は過去最高となった」と強調した。
「世界一の都市」に向けた重点施策では、福祉先進都市への挑戦、高齢者支援、待機児童対策、非正規雇用者支援、防災街づくり、治安対策の強化、国際経済都市の創造、中小企業支援、国際戦略特区の活用、都市インフラの整備、水素社会の実現などに取り組んでいく考えを示した。
2020年オリンピック・パラリンピックの準備では、引き続き整備費の縮減に努めるとともに、競技施設が大会のレガシーとして都民に親しまれる施設となるよう、民間の知恵も取り入れていくと表明。併せて区市町村が独自に行う事前キャンプの誘致や大会を盛り上げる取組みを支援していく考えも示した。さらに、とくに力を入れるテーマとして、「パラリンピックと文化」をあげ、普及啓発やバリアフリーを推進するため体制を強化するとともに、「東京文化ビジョン」を年度内に取りまとめ、世界に発信していくと述べた。
都市外交については、「同じ課題を抱える海外都市との協力、オリンピック・パラリンピックの成功に向け、友好関係を深め、新たな関係を築かなければならない」と述べ、今後も積極的に推進する姿勢を示した。
来年度予算案など130件を審議
第1回定例会の提出予定案件は、総額6兆9520億円の平成27年度一般会計予算など予算案30件、条例案85件、契約案5件、事件案7件、諮問3件の計130件。ほかに収用委員会委員の任命同意など人事案10件が予定されている。
条例案のうち、新設は9件で、このうち7件が新たな基金の創設で総額は2580億円に及ぶ。名称は「福祉先進都市実現基金」「人に優しく快適な街づくり基金」「水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金」「おもてなし・観光基金」「芸術文化振興基金」「防災街づくり基金」「都市外交人材育成基金」で、いずれも知事がとくに力を入れている施策に関連し、2020年東京五輪に向け、取組みを加速させるのが狙いだ。
第1回定例会は24日に各会派による代表質問、25日・27日に一般質問が行われる。3月5日の本会議で26年度最終補正予算案などの議案を中途議決した後、同12~16日の予算特別委員会で知事との一問一答の質疑を行なう。その後、17~20日の常任委員会審議、24日の予算特別委員会での締めくくり総括質疑を経て、27日の最終本会議ですべての議案を議決し閉会する予定。
子供の声規制条例の見直しが焦点に
一部改正条例73件例のうち、「都民の健康・安全確保条例」の改正は、近年、保育所、幼稚園などの子供の声に対する騒音苦情が増えていることを受け、単に音の大きさによる規制から、周辺の生活環境に障害を及ぼしているかどうかを判断する規制へと規制方法を見直すもの。
子供の健やかな成長に配慮するため、小学校就学前の子供を数値規制の対象から除外するほか、保育所、幼稚園、児童館、公園などを適用除外とする。その上で、子供の声等が受忍限度を超えているかどうかは、音の大きさだけでなく、音の種類、影響の程度、関係者の話し合いなどを調査した上で、総合的に判断するとしている。
事前の都民意見募集では、「子供が大きな声を出して遊ぶこと、大きな声で泣くことは子供の権利」など規制見直しに賛意や共感を示す意見が79件、「高音の奇声を発する幼児だからこそ大勢となったときの音は耐え難い」など反対意見が45件と賛成意見が上回ったが、社会問題のひとつとなっていることから、審議の行方が注目される。
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