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【特集】「東京の防災プラン」を策定2015年02月20日号
東京都はこのほど、「東京の防災プラン」を策定した。2020年オリンピック・パラリンピックを見据え、取組みを加速するとともに、自助・共助に対する都民・地域、企業の理解と協力を深めようというのがその基本的な考え方。災害が発生した場合に起こりうる事態を想定シナリオとして描写、それぞれの事態に対して備えるべき取組みを示した。対象とした災害は地震(「区部・多摩」「島しょ」)と風水害(都内各地)で、「区部・多摩」の地震発生の際の想定シナリオは「自宅編」と「繁華街編」に分けて記載されている。ここでは、自宅編の想定シナリオと自助・共助の取組みの概要についてまとめた。(公助の取組みは紙面の都合で割愛した)
なお、「東京の防災プラン」は東京都総務局総合防災部で入手できるほか、都のホームページで閲覧できるので、一度目を通すことで発災時の状況をイメージし、「自分の命は自分で守る」ための準備に役立てたい。
東京都総務局総合防災部ホームページ http://www.bousai.metro.tokyo.jp/
1. 建物の耐震化、更新等(2020年までに目指すべき将来像=建物倒壊やそれに伴う死傷者が大幅に軽減されるまちが至るところで形成)
自宅・職場の耐震診断を受け、低いとの診断を受けた場合、耐震化工事を行う。集合住宅でも、管理組合による適切な管理(耐震診断、耐震化)や改修、建替えによる機能更新で地震に備える。
危険と思われる家具類、家電製品は必ず固定、ガラスの飛散防止シートを貼るなど、けがをしない環境整備を進める。
2. 住民による救出活動の展開(「自らの命は自らで守る」「自らの地域は皆で守る」の精神が徹底され、地域の防災力が向上)
緊急地震速報を受けたり、地震の揺れを感じたら、身の安全を確保するための行動をとれるようにする。日ごろから家族で防災に関する話し合いを行い、安否確認の方法、集合する避難場所を確認しておく。
普段から近所と交流を持ち、地域の防災訓練に参加する。地域の消防団、自主防災組織に参加することも大事。
3. 出火・延焼の抑制(災害時に火災が発生しても、燃え広がらない、燃えないまちが至るところで形成)
自宅を燃やさないため、耐火構造住宅への建替えを進める。漏電遮断器、感震機能付き分電盤の設置、避難時のガス機器の閉栓、電気の遮断等の出火防止対策を実施する。
定期的に訓練に参加し、消火器の使用方法など初期消火の技術を身につける。
4. 安全で迅速な避難の実現(災害発生時に、安全で迅速に避難することができる体制が整備)
災害時に即座に持ち出せるよう、決まった場所に非常用持ち出し袋を準備し、年に一度、中身を確認する日を決める。
地域の方々と話し合い、自分たちの防災マップを作る。
近所と協力し、一人で避難することのできない避難行動要支援者を避難所まで誘導するなどの支援に備える。
5. 各種情報の的確な発信(発災時に必要な情報を的確かつ迅速に発信できる体制が整備)
災害時はデマなどで混乱する危険があるため、行政機関など信頼できる情報源を活用し、行動するようにする。
災害用ラジオ、携帯電話の活用など情報源の多様化を図る。また、そのために必要な非常用バッテリーなどを準備する。
家族と話し合い、災害用伝言板、SNSなど安否確認手段を複数持つようにする。
6. 帰宅困難者による混乱防止(発災しても、安心してその場に留まり、行き場のない人の安全も確保され、スムーズに帰宅することができる環境が整備)
机の引き出しやロッカーに、必要なものを余分に入れておく。
自宅までの帰宅経路の確認をしておく。事業者は従業員の3日分の備蓄に加え、来客者用に10%余分に備蓄する。
帰宅困難者対策訓練に参加し、帰宅困難者の受入れなど、災害対応力を強化する。
7. 円滑な避難所の開設・運営(発災時に避難者が安心して避難生活を送ることができる環境が整備)
円滑な避難所運営ができるよう、日ごろから訓練を行う。
避難生活では、炊き出し、清掃などを積極的に手伝うなど、みんなで協力し合う。
授乳スペースを設けるなど、様々な方に配慮した避難所運営体制を地域で築いていく。
避難所での避難生活で必要となるものを入れた非常用持ち出し袋を日ごろから用意しておく。
8. 発災後3日間の生活を可能にする飲料水や備蓄品の確保(発災後の混乱を防ぎ、避難所や自宅での避難生活に必要不可欠な水、食料及び生活必需品の備蓄)
普段家族が食べている食事、使用している物品などを参考にして、発災後3日間で必要となる食料や生活必需品を準備する。
日持ちする食料、普段購入している生活必需品を少しずつ買い増すなど、日々の生活に合わせた準備をする。
食料等の備蓄品を定期的に食べて新しいものを補充するとともに、家族で備蓄について考える機会を持つ。
車に備えつけのラジオやテレビなどは災害時の情報収集手段の代替にもなるため、自家用車へのガソリン・軽油の補給を、日ごろからこまめに行っておく。
9. 公助による救出救助活動の展開(大規模な災害が発生しても、迅速かつ的確な救出救助活動が展開できる環境が整っている)
この項は公助のみ。
10.迅速な復旧による早期生活再建(物資等の輸送路及び輸送手段が確保され、被災者の早期生活再建を支援する体制が整備)
生活再建のための準備として、各種災害保険に加入したり、保険会社、銀行など災害時に必要な手続のための書類や連絡先をすぐに確認できるようにしておく。
災害時に相互に助け合えるよう、避難所生活支援、がれき処理など被災地域の災害ボランティア等に積極的に参加する。
災害発生後、円滑な復興に向けて取り組めるよう、地域の復興まちづくり訓練等に参加する。
タグ:東京の防災プラン 自助 共助