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大庭麗のイタリア食材紀行 第7回2014年12月20日号

 
大庭麗のイタリア食材紀行

 

 

第7回 中世から伝わるイタリアのクリスマス菓子

 

 “ナターレは家族と過ごし、復活祭は友人や仲間と”。古くからこんな言い回しがあり、ナターレ(クリスマス)は必ず家族と一緒に過ごすイタリアの人々。今回はこの時期を代表する2種類の伝統菓子を紹介します。

 16世紀のルネサンス期にミラノの宮廷で誕生し、ドーム型の形状で、干し葡萄やオレンジピールなどが入ったパネットーネと、ロミオとジュリエットで有名なヴェローナ発祥の、8角形の星形にシンプルなバニラの香りが特徴のパンドーロ。一説には同じく中世にヴェネチアの貴族たちに振舞われていた金箔を貼ったお菓子に“金のパン”を意味するこの名が付いたと言われています。

近年、日本でもこの時期手に入る、イタリアの老舗名店のパネットーネやパンドーロ

 材料にはともに、小麦粉と砂糖、バターに卵、そして味の決め手となる天然の酵母が用いられます。特にパネットーネ用の天然酵母は、北イタリアの特定の地域(コモ湖周辺)の独特な微気候が適しているとされ、老舗の菓子店では代々継ぎ足されたその伝統の酵母が用いられます。

 イタリアでの修行時代、ある夏の終わりに同僚のイタリア人が「明日から1週間、実家の菓子屋のパネットーネの仕込みがあって仕事を休む」と言うのを聞いて、夏のこの暑い時期にパネットーネだなんて、どうせならもっと違う言い訳をすればいいのに、と思っていたのは私だけ。「さすが老舗の菓子屋だね」と納得した様子のシェフの姿に驚いた記憶があります。聞けば3~4カ月の熟成を経てクリスマスにしっとりとした最高の状態のパネットーネを顧客に提供するため、夏の終わりにはパネットーネを焼き始めるこだわりの店が数多くあるのだとか。

 そもそも伝統的なパネットーネ酵母の持つ特別な乳酸菌は、微生物等の生育を防止するため、添加物を加えなくても長期間の保存、熟成が可能となるのです。

 


大庭麗

<大庭麗(おおばうらら)プロフィール>

 東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。

 

 

 

 

タグ:大庭麗 パネットーネ パンドーロ 

 

 

 

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