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局長に聞く69 人事委員会事務局長2014年08月20日号
人事委員会事務局長 真田正義氏
東京都の各局が行っている事業について局長自らが紹介する「局長に聞く」。69回目の今回は人事委員会事務局長の真田正義氏。職員の採用試験を担当するが、近年の技術系職員の不足に頭を悩ませた結果、導入した新方式試験について紹介していただいた。
(聞き手/平田 邦彦)
土木・建築区分で「新方式」を導入
—人事委員会の役割は。
人事委員会には二つの役割があります。ひとつは職員の労働基本権制約の代償機関として給与勧告や公平審査事務を行うこと、もうひとつは人事行政の専門機関として、採用試験や昇任選考を実施することです。国の人事院と同じ機能を都において担っています。
—オリンピック・パラリンピック大会に向けた取り組みがあればご紹介ください。
2020年のオリンピック・パラリンピック大会の開催が決定したことで、施設整備などで技術系職員のニーズがこれまで以上に高まっています。現在、技術系人材の確保が官民問わず非常に困難な中、優秀な人材を幅広く確保することが最重要課題となっています。
—激しい奪い合いとなりそうですね。
景気回復の流れを受け、民間企業は新卒も含めて大幅に採用枠を拡大しています。特に我々が採用したい土木・建築の技術系は民間も採用したがっていますから、互いに人材の取り合いとなっています。しかも少子化の影響で、技術系の新卒者数は増えていません。厳しい状況にあると思っています。
—有効な対策はあるのでしょうか。
これまでの「待ち」の姿勢から、「攻め」の姿勢に転じなければなりません。
従来、公務員試験を受けずに民間に流れた人は公務員試験対策の準備が大変なため敬遠しているケースがあります。公務員試験は教養・専門・論文・面接試験などがありますが、東京都では、専門試験を記述式としており、この記述式試験が論文とともに受験生にとって負担が大きいという声をききます。
そこで土木・建築区分について、記述試験や論文を廃止し、特別な試験対策が不要な「新方式」を導入しました。技術者としての柔軟な発想力、課題発見力を検証するため、受験生に直接、都の現場を見てもらい、面接時に我々に課題解決についてプレゼンしてもらいました。
その結果、これまでだったら公務員試験を受けなかった学部の学生や第二新卒者が受験し、実際に合格者も出ています。こうしてみると新たな人材の掘り起こしは一定程度の成果があがっていると思います。
受験生と接した面接官からは「じっくりと個々の受験生を観察することができ、受験生の知識や能力、経験等について多角的に捉えることができた」と好意的な意見が寄せられました。
—素晴らしい取り組みです。
これからの時代、これまでのような「待ち」の姿勢では、良い人材は確保できないことを実感しました。
今回の採用方法については技術系職員と意見交換しましたが、記述試験や論文の廃止には慎重意見も正直ありました。しかし雇用の形態や市場が変化している以上、民間企業志望者をはじめ幅広い層から職員を採用した上で、採用した人材を今後どう育てるかに重点を置くべきだと主張してきました。
都庁にはやりがいのある仕事が
—新卒とキャリアの組み合わせも重要ですね。
新卒だけで人材を賄おうとすれば様々な課題もありますが、キャリア(民間企業経験者)は即戦力として期待できます。また専門性に着目した任期付採用も実施しています。このほか都庁OBの活用など選択肢は随分増えてきています。新卒採用だけで十分であるとは考えていません。
新卒は、オリンピック・パラリンピックでの活用だけでなく、大会以降を見据えて育成していく必要があると考えています。
人を雇うということは、雇用主としても責任を負うということです。雇った以上は最後まで気持ちよく勤めてほしいし、能力を最大限発揮してほしいと思っています。
しかし今の人事制度でそれに対応できるかというと、時代が変化している中では難しい面も否定できません。様々な選択肢を持つこと(複線型人事制度の構築)が求められているのではないでしょうか。
—都庁で働きたいと思っている方々へのPR活動は。
我々は多様な採用広報活動を行ってきています。PR冊子の作成や配布をはじめ、独自のウェブサイトや民間就職ウェブサイトでの職員募集を行っています。また、職員採用のセミナーやインターンシップ、各種就職イベントへの出展、各大学での就職説明会、大学の研究室や就職課への訪問なども積極的に取り組み、様々な方法で都庁への志望強化を図っています。今後も都庁の魅力や仕事のやりがいを積極的に伝えたいと思います。
—では最後に、都庁で働きたいと思っている学生にメッセージを。
東京都では他の自治体とは異なり、オリンピック・パラリンピックなど、スケールが大きく社会的影響力のある仕事に携わることができます。
また、例えば福祉施策では幅広い仕事を担っているので、地域住民に密着した仕事に携われることも可能です。さらに国や他団体に先駆けた仕事、いわば「東京から国を変える」仕事もできます。このように都庁には、「やりがい」のある仕事にあふれています。
是非、民間企業を志望している方も積極的に都庁にチャレンジしてほしいですね。
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