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大庭麗のイタリア食材紀行 第3回2014年08月20日号
第3回 スイカ専門の屋台“ココメライオ”
夏の強い日差しの下、トラックの荷台に大きなスイカを山ほど積み込み、販売している光景をよく見かけます。イタリアの人々もまた、夏の風物詩スイカが大好き。ただ、イタリアのスイカはとても大きく、10キロ以上のものがほとんどで、大家族でない限り、丸ごと1個のスイカを 買うのはなかなか勇気が要りそうです。
というわけで、イタリアでは外でスイカを食べることもしばしば。夏季限定の“ココメライオ”と呼ばれるスイカ専門屋台や、キオスコと呼ばれる、店先に簡易のテーブルとイスを置いてビールなどの飲み物を販売するお店で、カットしたスイカを楽しめます。パイナップルやマンゴーな どの他のフルーツとの盛り合わせや、スイカをシャーベット状にしたグラニータを提供するお店もあり、夜涼みがてらスイカを食べに散歩に出かけたり、食事やお酒を飲みに行った帰り道や、仕事帰りに友人と立ち寄ったりと、どうやらイタリア人は夜スイカを食べるのがお好きな様子。夜風に吹かれながら野外で食べるスイカは、イタリアの夏ならではの思い出です。
ジンやウォッカと合わせた大人な食べ方も有名で、お酒を飲みに行ったお店でスイカを注文なんていう不思議な光景もあります。
残念ながら近年、都市部では規制強化の影響などで、ココメライオが激減しつつあるそう。エアコンの普及や時代の変化とともに、イタリアの納涼の習慣が少しずつ廃れていってしまっているかのようで、なんだか寂しく思います。
<大庭麗(おおばうらら)プロフィール>
東京都生まれ。2001年渡伊。I.C.I.F(外国人の料理人のためのイタリア料理研修機関)にてディプロマ取得。イタリア北部、南部のミシュラン1つ星リストランテ、イタリア中部のミシュラン2つ星リストランテにて修業。05年帰国。06年より吉祥寺にて『イル・クッキアイオ イタリア料理教室』を主宰。イタリア伝統料理を中心に、イタリアらしい現地の味を忠実に再現した料理を提案し、好評を博している。
タグ:大庭麗 イタリア料理 ココメライオ キオスコ