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第29回 都心の小学校屋上に広がる「里山」2013年09月20日号
取材/細川奈津美
取材協力/江戸東京・伝統野菜研究会代表 大竹道茂
大竹道茂の江戸東京野菜通信 http://edoyasai.sblo.jp/
都心の小学校屋上に広がる「里山」で生徒たちが手がける野菜
高層ビルが立ち並ぶ港区南青山。この地に所在する区立青山小学校の屋上約300㎡にはさまざまな野菜が栽培されている。
「もともとは室外機しかなかった屋上を緑化しようと始まったのが“青山里山プロジェクト”です」と竹村郷副校長。このプロジェクトの責任者でもある。
屋上は野菜を栽培するには劣悪な環境。まずは階段を何度も上がり下りして土を運ぶことから始まった。夏は50度近くにまでなり、一日で根がダメになってしまうことも。
「この辺りのスーパーなどで種や肥料のことを聞いても誰もわからないので、千葉のホームセンターまで行っていろいろ教えてもらい、なるべく屋上の環境に合う野菜を選ぶようにしました」
生徒たちは春には鳥に種を食べられ、夏には虫に泣かされながらも夏野菜20種、冬野菜10種ほど収穫できるまでになった。夏休み中の学校正門前での販売には、時間前から人だかりができる盛況ぶりだ。近所の人は「形は悪いけど無農薬だし、何より子どもたちが一生懸命作っているものだから」と嬉しそうに買い求めていた。
最近は江戸東京野菜にも挑戦。農家を訪ねて実際に伝統野菜を見学したり栽培方法を教わったりもした。今回は品川カブ、亀戸大根、伝統小松菜などを江戸時代の頃と同じ肥料で育ててみるという。
「このプロジェクトは農家になってほしいということではなく、農業を通じてさまざまな人たちと出会い、そのつながりを大事にしてほしいという思いからやっているのです。希薄な人間関係が問題となっている今だからこそ必要なことではないでしょうか」と竹村副校長。
10月の最終週末に開催される青山祭では、ブースを出して野菜の販売も行う予定。夏野菜の収穫が終わっても「小さな生産者たち」の奮闘はまだまだ続く。
タグ:江戸東京野菜 区立青山小学校 青山里山プロジェクト 屋上菜園