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局長に聞く57 東京都技監(都市整備局長兼務)2013年08月20日号
東京都の各局が行っている事業のポイントを紹介してもらう「局長に聞く」。57回目の今回は東京都技監の藤井寛行氏。都技監は技術職が就くトップのポストで、その地位は副知事に準ずる。前任の村尾公一氏は建設局長を兼務していたが、藤井氏は都市整備局長を兼務する。防災対策、都市再生、インフラの更新など首都東京の生活と経済を支える重要な事業を担う藤井氏に、今後の取組みについて聞いた。
(聞き手/平田 邦彦)
各局と連携して施策を展開
—さる7月16日付で東京都技監に就任されたわけですが、まず、抱負をお願いします。
一言で言えば、東京の魅力・安全性を高めていくこと、これが使命だと思っています。
そのための施策としては、都市再生、防災性の向上、地下鉄改革など様々な課題がありますが、近年は特に、まちづくりひとつをとっても、総合的な施策の展開が求められてきており、福祉や文化、環境など局をまたいだ連携がますます重要になってきています。
また、9月7日にオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まれば、2020年までに東京という都市のしつらえを、もう一度整え直していかなければなりません。前回のオリンピック開催から50年近くがたっており、ソフト・ハード両面から都市をレビュー(点検)し、再生するよいきっかけになるとも思っています。
こうした様々な都市整備を短期・集中的に進めていくため、都技監として、関係各局との連携をいっそう強めながら、一つひとつの施策が最大限の効果を発揮できるよう、取り組んでいきたいと思っています。
—個別の課題ですが、まず地下鉄改革については。
地下鉄改革については、経営の一元化を展望しつつ、都民の皆さんにとっても、良くなったという実感が得られるようなサービス改善を実現したいと考えています。
九段下駅の壁撤去は、乗換動線の短縮だけでなく、ホームの幅員に余裕を生んだり、相互の階段の有効活用が可能となるなど、大きな改善効果を発揮しています。引き続き、様々な観点からサービス改善に努め、利用者サービス向上に努めたいと思います。
—東京の魅力向上に向け、都市再生をどう進めますか。
世界中で、都市間競争が激化している中、東京もアジアの各都市、シンガポールや上海などと厳しい競争に直面しているのが現状です。
東京がこの競争に敗れ、世界の中で埋没していくとすると、日本の経済・社会全体に悪影響を与えます。そのため、東京の都市再生は待ったなしと言えます。
現在、都内の様々な地区で、都市再生が進んできており、東京の魅力向上に大きく貢献しています。
例えば、東京駅や六本木周辺では、業務機能だけでなく、文化的にもとても高質な空間が形成されており、歩いていてもとても楽しい街づくりが進んでいます。こうした街には、国内だけでなく海外からの来街者も多くみられます。このような都市再生を他の地区でも、さらに加速させていく必要があります。
例えば品川駅は、羽田空港にも至近の距離にあり、東海道新幹線の停車駅でもあります。将来、リニア新幹線品川駅が開業すれば、現在の東京駅と同じくらい重要なターミナルとなり、東京の都市再生に大きな役割を果たす拠点だと思います。
今後、きちんとした計画を作った上で、開発の推進・誘導を進めていく考えです。
若手職員の感性に期待
—魅力向上の前提として、都市の安全性の向上も喫緊の課題です。
安全な東京をつくっていくためには、木造密集地域の改善が重要であり、そのため「木密地域不燃化10年プロジェクト」を進めているところです。現在、12地区で取組みを進めていますが、これを50地区程度まで拡大し、都内における大きな展開につなげていく計画です。
実際の事業に当たっては、一人ひとりの方の生活再建に関わることでもあり、税や財政、福祉など様々な観点からの支援が必要となってきます。そのため、現場に密着した取組み、特に地元区の取組みが重要ですから、都として地元区が熱意を持って取り組めるよう、制度や事業などの条件整備を行うと同時に、都自身も様々な施策展開を行いながら、東京の不燃化を進めていきます。
—東京の都市基盤、いわゆるインフラの更新も大きな問題です。
道路、橋梁、港湾、上下水道といった都市インフラの多くは、昭和30年代に整備され、これまでの日本経済を支えてきましたが、これらの施設が更新時期を迎えています。的確な更新を進めることにより、これから50年間の東京の経済・社会を支えていく施設として甦らせていくことが必要です。
中でも都心交通の重要な役割を担っている首都高の更新は重要と考えており、東京の機能低下を防ぎつつ再構築を進めていく必要があります。そのため、用のない通過交通を都心に入れなくて済むよう、3環状道路の整備を促進し、効率的・計画的な再構築を、国や首都高株式会社などと連携し進めていきます。
—最後に、職員に望むことは。
都市再生を進めるためには、効率的な都市構造とするだけでなく、そこにいて楽しくなるような魅力ある都市づくりが必要です。そのためには、楽しめる都市づくりが必要であり、「遊び心」もまた必要です。
楽しくなるような街づくりに対しては、特に若手職員に期待しており、自分自身で現場をよく知り、感性を磨いてほしいですね。
タグ:東京都 福祉保健局