局長に聞く 49
新たな施策の種を準備
知事本局長 前田 信弘 氏
東京都の各局が行っている事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。49回目の今回は知事本局長の前田信弘氏。10月30日に石原前知事が退任したが、次の知事が決まるまでの間、都政を前に進めることが求められている。これまでの石原都政の評価、今後進めたい施策などについてお話をうかがった。
(聞き手/平田 邦彦)
誰が知事であっても都政を前に
―10月30日に石原知事が退職しました。知事不在の影響はどれほどのものなのでしょうか。
11月26日告示、12月16日に投開票が行われる知事選で次の知事が決まるまでの間は、副知事が職務代理を務めます。
新しい知事が決まるまでの間は、政治的な判断を必要とする案件を決めることはできません。都の事業は日々、都民生活と繋がっていますので、職務代理者の下、私はもとより各局長、都幹部が間違いなく仕事を進めることが何よりも重要です。
大きな問題は生じないと思いますが、今は来年度予算の編成作業に向けて、各局が予算要求をまとめている最中です。財務局と我々知事本局の計画部門との調整が山場を迎えるものの、新規に行うものの扱いについては、新知事が来られるまでストップすることになります。
―知事不在の影響は第4回定例会にも及びます。
招集は職務代理の副知事が行います。開会日を11月30日ということで議会にお願いしていますが、会期を決めるのは議会側です。都議補選の告示などの日程も踏まえながら議会側が判断することになります。
知事が不在なので所信表明はなく、本会議での質問においては各局長が答弁することになると思います。
―仮に首都直下地震などの災害が発生した場合、都の対応は大丈夫でしょうか。
危機管理はシステムです。東日本大震災以降、危機管理システムは強化されています。石原知事という強力なメッセージを持った人物が都政から去ったとはいえ、災害時の対応が遅れるということはないと思います。
―石原都政13年をどのように振り返っていますか。
石原前知事が東京都のトップにいたということは、都政を前に進める大きな推進力だったと思います。我々はそれをあたり前だと思わずに、どれだけ助けられたかをしっかり認識する必要があります。新しい知事が誰であろうと、我々はそれを受け止めて都政を前に進めるだけです。
石原路線を変えるとする候補者が当選すれば、都政の方向性が変わることになりますが、そうでない候補者の場合は、大筋で石原都政を継承するのではないでしょうか。
―尖閣諸島の寄附金の扱いはどうなるのでしょう。
寄せられた寄附金を基金とするため、都議会の第4回定例会に議案を提案する準備をしてきました。しかし石原知事が退任したので、新しい知事に説明してから議会に提案しようと考えています。
―寄附金は約14億円もの金額に達しましたが、当初、これほど集まると考えていたのでしょうか。
当初、あるメディアは「それほど集まらないだろう」という論調でした。私は「石原知事が尖閣諸島の購入を表明して注目されているのだからそれなりに集まるだろう」と思っていましたが、それでも14億円という数字は予想外でした。寄附金は現在でも若干ではありますが寄せられています。これは石原前知事が国政に出るということと関係しているかも知れませんね。総選挙後、どのような政権になっても、領土に関する問題は正面から取り組むべきものだと思います。
趣味が仕事に活力を生む
―今後、是非とも進めたい施策は何でしょう。
誰が知事になっても、石原前知事が進めてきた優れた施策は継承します。石原前知事が頑張ったけれど、まだ進んでいないものなどは、都庁全体で考えていきたいですね。施策の種を用意するということです。そして新しい知事の意向をうかがいながら具体化すると思います。
前知事の最大の功績のひとつであるディーゼル車排ガス規制は、実はその種は鈴木都政の頃から温められてきていたのです。施策の結果、東京の大気は劇的に改善されましたが、これで終わりなのかというとやはり次の課題があるのです。また、新銀行東京も今後、将来のあり方、選択肢について議論することになると思います。
―ところで局長は鉄道が趣味と聞いています。
中学の頃からの趣味ですね。職場でも最近はだいぶばれてきました。ほかにも音楽鑑賞、美術鑑賞、旅行も好きです。
鉄道が趣味の人は模型派と実物派に分けることができますが、私は実物派です。写真を撮ったり、機会があれば乗ったりしますよ。私より上の世代の方は実際にSLが活躍していた頃を体験していますが、私が中学生の頃には既にSLの最後の時期でしたね。地方のローカル線で走っているSLの写真を撮るために旅行したのが今でも続いています。
先日、日光に電車の写真を撮りに行ったのですが、地元の方から「仕事かい?」と尋ねられたので「道楽です」と答えました(笑)。その途端、話が弾むのも不思議なものですね。
―趣味を持つということは仕事にも生かせますね。
石原前知事は新入職員に対して「趣味を持ちなさい」と訓示していました。自分が夢中になるものを持つことで、仕事に相乗効果となって表れるということです。これはまったくその通りだと思いますね。