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技術日本一
2009年6月20日号
THL-HD(30/20/10) SIP株式会社

●SIP株式会社 西多摩郡瑞穂町 ●2009年設立

TOKYO★世界一 (18)

THL-HD(30/20/10)

SIP株式会社

 東京にある、世界トップクラスの技術・技能―。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。毎年1月にだるま市が催される西多摩郡瑞穂町のSIPは、LEDの消費電力の低さに着目。その特徴を活かして、バッテリー式の新しい投光器を完成させた。開発期間はおよそ1年。騒音、CO2の排出がゼロという優れた特徴を、開発中にあった苦労などと合わせてご紹介したい。

(取材/袴田宜伸)

 携帯電話のボタンをはじめ、信号機や乗用車のランプなど、LEDの用途はさまざまに広がっているが、今年5月、SIPによってLED仕様の新たな製品が市場に登場した。

 それがバッテリー式投光器「THL-HD(30/20)」。開発のきっかけとなったのは、鉄道工事現場からの要望だった。

 その声に応えるべく、代表取締役社長の二見貴士氏が着目したのが、LEDである。

 「発電機を使わないバッテリー式なら騒音が出ません。そこで、バッテリーの小電力でも点灯できるものと考えて、LEDに行き着きました。

 

信頼性の高い国産品にこだわって開発

連続点灯時間は、最長44時間

連続点灯時間は、最長44時間(THL―HD20でLoモード・1投時)。バッテリーだけでなくコンセントでも点灯できる

 エンドユーザーの声を拾いながら開発を推進。製品の安定性を高めるために、各部品には、国産品を使用することにこだわった。

 「故障してすぐに修理できない現場で使われることも多いですから、故障率は極力下げなければなりません。そのためにも、信頼性の高い国産品を使おうと考えました」

 国産品を使用すれば、自ずとコストは上がるが、ユーザーのためを思い、ボディやバッテリーケースを押し出しで作るなどして、コストダウンをはかった。

 また、LEDは日進月歩。できるだけ明るく現場を照らせるようにと、二見氏はさまざまにあるLEDをテストし、最適なLEDを見出した。

 「企画した当初と比べて、明るさはおよそ2倍。300Wのハロゲンランプと、ほぼ同等の明るさがあります」

 

騒音もCO2の排出もゼロと環境にもやさしい

 THL-HDは、低消費電力というLEDの特徴を活かし、わずか12Vのバッテリーで点灯。従来の投光器と違って発電機が不要なため、騒音もCO2の排出もゼロと環境にもやさしい。

 「もちろんCOも発生しませんので、閉鎖した空間でも安全にご使用いただけます」

 また、HIDランプやハロゲンランプ仕様の投光器と比べて、スイッチを入れるだけですぐに点灯。さらに、発熱が少ないことも大きな特徴だ。

 「長時間使用した後でもすぐに片づけられますし、ヤケドする危険もありません」

 

安心して使える製品を作っていきたい

実際に使用した時の明るさの比較

実際に使用した時の明るさの比較。上がTHL-HD20・1投・Hiモード、中央がTHL-HD30・1投・Hiモード、下がTHL-HD30・2投・Hiモード

 THL-HDは山梨県警で正式採用され、消防庁やフランスの憲兵隊で試用。JRなどの鉄道会社や電力会社への採用も進んでおり、反響も上々だ。

 「明るさは十分で、配線が不要なので使いやすいという声が聞かれます。また、無音なため現場で声が通りやすいですから、安全性が高まると喜んでいただいています」

 自分が企画したものが形になること―二見氏は、モノ作りの楽しさをそう話したが、SIPではさらにハンディタイプの「THL-HD10」の発売を今月下旬に予定している。

 「今後もエンドユーザーの意見を取り入れて、使いやすく、故障せずに安心して使える製品を一つひとつ作っていきたいと思っています」

 現場に立って無音でやさしく照らし続けるTHL-HDのように、SIPもまた、現場の作業員が快適に作業できるように、これからも実直にサポートし続けていく。

SIP株式会社の代表取締役社長の二見氏

代表取締役社長の二見氏

 

 

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