局長に聞く 38
積極的な情報発信に努める
生活文化局長 井澤 勇治氏
東京都各局の取り組みを局長自らが紹介する「局長に聞く」。38回目の今回は生活文化局長の井澤勇治氏。悪質商法から都民を守る消費者行政、文化施策、私立学校への補助、広報広聴など、都民の日常生活と深い関わりのある分野が多いのが特徴。さらに7月からはツイッターを活用した情報発信も開始している。現在の主な取り組みについて聞いた。
(聞き手/平田 邦彦)
悪質な商法は許さない!
―生活文化局の事業は消費者行政、私学助成、文化施策、広報業務など広範囲にわたります。
近年では特に、消費者行政の重要性が増しています。若者から高齢者までを狙った悪質な訪問販売が問題になっていますが、相手も手を変え品を変えやってきます。
たとえば最近、高齢者の方が騙される例として「原野商法」があげられます。退職金などの資金を上手く運用したいという気持ちに付け込まれて騙されてしまうのです。
また、「褒め上げ商法」というのが出てきています。退職後の趣味として絵を描いたり文章を書いたりする方が増えていますが、展覧会などで紹介されると「あなたの作品は素晴らしい。本を出さないか」と褒め上げて、契約を迫るというケースです。
このような場合にはすぐに近くの消費生活センター等に相談して欲しいのですが、残念ながら相談したときには既にクーリングオフの期間が過ぎてしまっているというケースが多いようです。
とにかく、こういう許せないケースが多いため、被害が多発していることを、ホームページやマスコミ等を通じて周知しています。
―今後、高齢者が増えれば被害はさらに増える可能性があります。
今後は、特に若い世代に消費者教育を行う必要があると感じています。小学校から大学まで、各学校に講師を送っています。英語教育と同じで、小さいときから消費者教育を行っておけば被害に遭うケースも少なくなると考えています。
都の消費生活総合センターにはさまざまな事例がノウハウとして蓄積されており、「悪質商法」に関する緊急情報を流しています。
また、相談員の数を増員するなど、国より早い対応を取っています。消費者を守るのはやはり情報ということですね。
―私学への助成には都議会から充実の要望が毎年出されますが。
私立学校はそれぞれが伝統と独自の教育方針を持っています。東京都は私立学校の教育条件の維持向上や修学上の経費負担軽減などを目的に補助を行っており、それが私学助成と言われています。
たとえば3月11日の教訓などを踏まえ、校舎の耐震化促進の加速や交通機関のマヒに対応するための防災用品の備蓄推進に向けた支援などに取り組んでいます。
平成25年度までに小中学校の校舎の耐震化率100%達成を目指します。
東京都美術館が来春にリニューアル
―東京都の文化施策の現状はどうなっているのでしょう。
東京都美術館など都は多くの各種文化施設を持っていますが、トップには各界のそうそうたる方々に就任していただいております。
東京都写真美術館の館長は資生堂の名誉会長の福原義春さんですし、東京芸術劇場の館長は元NHK会長の福地茂雄さんです。東京文化会館の館長にはフジテレビ会長の日枝久さん、東京都現代美術館の館長には電通会長の高嶋達佳さんが就任してくださいました。
それぞれ各界のトップとして素晴らしい実績をあげてこられた方々で、文化発信に対する強い意欲を持っておられ、大胆な発想で運営に取り組んでいただいております。
東京文化会館は今年で開館50周年を迎えましたが、海外の一流アーティストからも高い評価を得ています。東京都美術館も数十年ぶりの改修を行い、来年4月にリニューアルオープンの予定です。改修でエスカレータなどが増設され、お年寄りや障がいのある方にも使いやすく観やすい施設に生まれ変わります。
池袋の東京芸術劇場も現在改修をしていますが、音響が格段に向上します。
各施設のリニューアルを経て、新たな文化との出会いの場となることでしょう。
―東京都はツイッターを開始しましたが、それも情報発信の一環ですね。
生活文化局は都の広報広聴も担当しています。これまでは東京都の公式HPで情報を発信していましたが、7月からツイッターを活用した情報発信も行っています。攻めの姿勢に転じようという試みです。
都のイベントをはじめ、放射線量に関する情報などをツイートしていますが、定期的にフォローしてくれている人は、11月末の時点で約1万3千名にものぼっております。
たとえば、10月の台風のときには都営交通の運行情報を集中的に流しましたがこれも3月11日の貴重な教訓です。各局と生活文化局が連携して、東京都の広報、情報が確実に都民の皆様に届くよう、さらに工夫してまいります。