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都政レポート
2011年11月20日号

 

局長に聞く 37
建築物の耐震化が急務

都市整備局長 飯尾 豊氏

都市整備局長 飯尾 豊氏

 東京都各局の取り組みを局長自らが紹介する「局長に聞く」。37回目は都市整備局長の飯尾豊氏。防災に強い東京の構築が急務な中、木造住宅密集地域の解消や緊急輸送道路の沿道の建築物の耐震化に全力で取り組む意欲を見せた。

(聞き手/平田 邦彦)

木密地域の解消にも重点

—東日本大震災から8ヵ月が経過しました。

 あれだけの大震災が起きたわけですから、東京都としても防災は重要な課題です。直下型地震の切迫性が高まっている今、スピード感を持った取り組みが求められています。

 東京都の防災上の弱点として、まず、木造住宅密集地域が広範囲にあることがあげられます。木造住宅密集地域は山手線外周部を中心に広く分布していて、延焼の危険性も高く、老朽化も進むなど、防災上の課題を抱えています。

 また、緊急輸送道路沿道の建築物が地震で倒れないようにすることも重要です。

 阪神淡路大震災では、昭和56年以前に建てられた建築物の耐震性が不十分であったため、多くの建築物が倒壊しています。

 このとき、倒壊した建物が道路を塞いでしまい、同様のことが東京で起きると、救助活動や緊急輸送に甚大な支障が生じる恐れがあります。

 この、建物が「壊れない」、そして「燃えない・燃え広がらない」ということがポイントだと考えています。

—木造住宅密集地域の解消は東日本大震災以後、大きくクローズアップされていますね。

 建物の不燃化を推進するため、建物を建て替える際に新防火規制を適用していますが、これは非常に有効で、燃えにくい街、燃え広がらない街の形成につながっています。

 都では今秋から「木密地域不燃化10年プロジェクト」を立ち上げ、動きを加速させています。燃え広がらないようにするため、延焼遮断帯となる道路で街を区切ると同時に、街の中の建物の耐震化と不燃化を進めるというのが主な内容です。

 これまで培ったノウハウや、地元住民との協働関係の活用、都有地の活用も考えられます。また、新防火規制に適合した建物にするためには建て替えが必要なので、そのためのインセンティブも考える必要があるかも知れません。

—建て替えのためのインセンティブとして、どのような手法が考えられるのでしょう。

 建て替えの際には、住民の方の新たな住まいとして共同住宅を建てることがインセンティブだったり、建て替えの際の費用や税金の問題への対応がインセンティブだったりと、色々想定されます。税制面や福祉面など多分野にまたがるので、都庁内で知恵を集めて協働する必要があると思います。

 木造住宅密集地域の解消には地元の協力がなければ進みません。そこで、今月6日のプロジェクトのキックオフイベントでは、地元の自治会の役員の方や、まちづくり協議会の役員の方にお集まりいただき、講演会を開催しました。各役員の方を核に、地域住民と膝づめで話をうかがい、その地域で何をやるべきなのかを探っていきます。

—緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化も急務ですね。

 緊急輸送道路のうち、特に重要な道路を「特定緊急輸送道路」に指定し、来年4月から沿道建築物の耐震診断を義務化します。沿道建築物は約5000件でターゲットがはっきりしていますので、ここ数年間で集中的に取り組むことにしています。

 建築物の所有者には、「地震の際にその建物が潰れるか否かは自分だけの問題ではなく、公共性のある問題であり、東京全体の問題」ということを理解してもらわないとなりません。そういった考えを醸成していく必要があります。

 

環2の整備で高質な軸を形成

—都市再生で再開発が進み、東京も随分変わりました。

 東京のスカイラインは10年前と比べて変わりましたね。石原知事が進めた都市再生の取り組みが確実に成果を上げていると思います。

 ニューヨークやロンドンなど、メガポリスが世界の経済や文化の中で大きな役割を担うようになっていますが、東京もメガポリスのひとつとして、世界の中で一定の機能を果たすようになってきていると言われています。

 六本木や東京駅周辺などでの都心の開発で高質な空間が生み出され、外国人と日本人がそこで会議をすることが日常茶飯事となっています。都市再生がなければ今の東京はメガポリスの仲間入りができなかったでしょうね。

—都市再生には道路ネットワークの構築も必要です。

 環状2号線の新橋・虎ノ門地区の再開発事業では、幅員が40メートルもの道路を地下に整備することで、地上部には大きな緑地帯を整備することにしましたが、これは非常に高質な、ひとつの都市の軸になると思います。

 環状2号線が整備されることで溜池から臨海部までが一気に繋がります。平成27年度に完成の予定ですが、羽田から臨海副都心を経由して都心に至るルートが強化されるので、臨海地域のビジネスニーズも一段と高まることが予想されます。

 臨海副都心には広域防災拠点もありますので、防災面からも環状2号線には期待が集まりますね。

 道路インフラでは、東京の最大の弱点となっている道路ネットワークの分断とそれに伴う渋滞を解消するため、外環道などの三環状道路や都内の基盤道路の整備を一刻も早く進めたいと考えています。

 

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