●株式会社コムネットバンク ●千代田区飯田橋 ●1991年設立 ●従業員数25名
TOKYO★世界一 (15)
Net・POS21-ATM
株式会社コムネットバンク
東京にある、世界トップクラスの技術・技能―。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。外堀に面する千代田区飯田橋のコムネットバンクは設立以来、公共料金や学費の収納システムなどを開発してきたが、その集大成として2005年、POSレジ(販売時点情報管理)とATMを組み合わせた、画期的な売上金管理システムを発表。その優れた特徴などをご紹介する。
(取材/袴田宜伸)
レストランやスーパーマーケットの店長には、さまざまな仕事があるが、中でも頭を悩ませるのがお金の管理。
営業終了後に売上を計算し、現金と照合。それが終わると翌日の釣り銭を準備する。
夜間金庫への入金にも手間がかかり、今のご時世、運ぶ際に襲われるかもしれないという不安もある。
そうした苦労を察し、状況を打開すべく、コムネットバンクは新たなシステム開発に着手。同社代表取締役社長・大川康治氏は、こう話す。
「人がお金を触り、数え、運ぶから違算やトラブルが起きます。そこで『お金を触らない・数えない・運ばない』で済むシステムを作れば、お役に立てると考えました」
コストダウンすることを開発の骨子としたコムネットバンクは、「武蔵小山商店街システム」「広島中心市街地情報化事業」の開発に携り、クレジットカードやデビットカードのマルチカード決済を生み出すなど、さまざまなシステムを開発してきたノウハウを結集。
およそ2年を経て、世界にも類を見ない売上金管理システム「Net・POS21-ATM」を完成させた。
『お金を触る・数える』をシステム上で代行
システムの概要を説明すると、お店側が行うことは、レジを打って現金を機械に入れるだけ。その度に、取引ごとの売上データがコムネットバンクのデータセンターに通知され、順次集計される。
「レジ締めや釣り銭を準備する際の『お金を触る・数える』を、弊社がシステム上で代行します。ですから間違いが起きませんし、経理上の処理も簡単になります」
効率化、リスク管理、コストダウンをはかれる
レジに入ると5千円札以下は釣り銭に回るが、1万円札は機械のATM内にある回収ボックスに入る。
そして回収ボックス内にお金が貯まった段階で、警備会社が回収。夜間金庫に運ばずに済むためリスクがなくなり、夜間金庫の使用料や振込手数料も削減できる。
しかも、夜間金庫を利用すると入金までに5日ほどかかるが、Net・POS21-ATMでは、2営業日後にコムネットバンクが立替払いを行う。警備会社が回収していなくても、ATMからのデータに基づいてコムネットバンクが立替を実施し、売上金が指定の口座に振り込まれるのだ。
このように効率化、リスク管理、コストダウンをはかれることが、Net・POS21-ATMの特徴。大川氏は続けて話す。
「ATMにあるお金は、弊社の預り金です。盗難や火災に遭っても、お客さまにはご迷惑をおかけしません」
日本全国はもちろん世界にも広めたい
Net・POS21-ATMの仕組みは、2005年の「愛・地球博」でお披露目。チケットブースの機械として導入され、好評を博した。
その後も飲食店を中心として、金融機関や事務所でも採用。導入先からは、「お金のことを心配しなくてよくなった分、気が楽になった」「本業に集中できる」といった喜びの声が上がっている。
「元々のNet・POS21-ATMは飲食店向きのものですから、物販でも使いやすいようにチューニングするなど、今でも進化を続けています。いずれは銀行の代理店機能を搭載するなど、これからも新しいニーズに対応してよりいいものにしていきたいです」
日本全国はもちろん世界にも広め、目指すは現金管理・回収のデファクト・スタンダード。
Net・POS21-ATMを使って現金を管理していることが、そのお店の価値にもなるよう、これからもコムネットバンクは、積み重ねてきたノウハウを投入し、邁進していく。