NIPPON★世界一 (41)
● ハミルトン株式会社 ● 1983年設立
● 千葉県浦安市 ● 従業員数32名
涼しいの何でか?/
プロセブンマット
ハミルトン株式会社
日本にある世界トップクラスの技術・技能-。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
「お客様の安全・安心」をモットーにFRP(繊維強化プラスチック)製品を主に扱うハミルトンは、そのモットーに沿う革新的な技術を持つ「冷感スプレー」「耐震マット」の販売も手がける。ともに我々の生活はもちろん、震災の余波が色濃く残る被災地での活躍も期待される。
(取材/種藤 潤)
「昨年出たばかりのこの液体は、今年は大活躍すると思いますよ」
そう言ってハミルトン社長の落合氏が取り出したのは、『涼しいの何でか?』という一風変わったネーミングの商品。シャツや下着に6~8回吹きかけると、汗をかいた際に体感温度が2度近く下がる独自技術に着目し、販売代理をスタートさせた。
「この技術の特徴は、独自のナノテクノロジーにより体から発せられる熱の【吸収】と【放出】両方ができること。この成分を8~12時間定着させることで、持続性ある冷感効果を可能にしています」
パッチテストデータもクリアし、人体への安全も実証済みだという。
電力不足の今夏は特に威力を発揮する
昨年の厳しい残暑のなか、炎天下での作業の多い大手電力会社の顧客から「労災が増えて困っている」「一般の熱中症対策グッズではあまり効果がない」という相談を受け、『涼しいの何でか?』を紹介。するとその効果の大きさから大変喜ばれ、本格導入。その後、浦安消防署などプロフェッショナルの現場でも導入されている。
「プロの方に評価される商品は、すなわち一流品であり、技術力がある証です。そうした優れた商品は必ず売れるし、リピーターもつく。私の役目は、それを本当に必要とされる人に提供することだと思っています」
今年の夏は震災の影響により電力不足が予想され、社会全体が節電を推奨する見込みだ。熱中症対策は必至である。特に被災地、避難所や仮設住宅、今もなお復興現場や原発関係で活動する人々への対策は急務だ。そうした場所でこそ『涼しいの何でか?』を活用してほしいと、落合氏は力を込める。
阪神淡路大震災を機に誕生前代未聞の耐震マット
“地震”というキーワードでいえば、ハミルトンが販売代理を手がけるもうひとつの商品がある。震度7の地震でも家具の転倒を防げる耐震マット『プロセブンマット』である。
『プロセブンマット』が生まれたきっかけは、1995年1月に起こった阪神大震災。プロセブン株式会社社長の小玉誠三氏の友人の死を機に、5年の歳月をかけ独自の材質を生み出し、2000年に固体と液体の性質を併せ持つゲルに超粘着性と超低弾性をプラスした耐震マットの製品化に成功。その後アート引越しセンターによる取り付けサービスを行ったことで、飛躍的に売上が向上。中越地震の際も、このマットの力が改めて実証されたという。
東日本の各種メーカーに取り入れてほしい
現在『プロセブンマット』は、個人宅の耐震だけでなく、海上自衛隊の潜水艦を含む船艦の中のPCなど備品の固定にも使用。また産業界にも活躍の場を広げている。大手電機・製薬・自動車各メーカーの製造ラインの機械設置において、アンカーボルト固定方法の代替手段となりつつあるのだ。落合氏もそうした産業向けのマーケットへの働きかけに注力する。
「アンカーは点固定のため抜けてしまうケースがありますが、マット固定は面で固定するため、急激な揺れにも強い。さらにプロセブンマットなら、設置物や設置場所、建物を傷つけず固定ができ、かつレイアウト変更などでも時間とコストを大幅に削減できます」
さらには揺れの大きい船舶内の機器設置などにも、『プロセブンマット』設置を推進していくという。
「プロセブンマットは本当に優れた商品ですが、関東ではまだ認知度が低い。大震災が起こり危機感が高まる今だからこそ、東日本で普及させていきたいと思います」
そう落合氏は、力強く締めくくった。
ハミルトン株式会社
ヤマハ発動機が小型船舶の製造修理と備品販売を目的として発足。主に技術提携により学んだFRP(繊維強化プラスチック)製品を軸に、テーマパークなどを中心に提供。
http://www.hamilton-ship.co.jp/