わが街の特職課
目黒区みどりと公園課 みどりの係
8割以上を住宅地が占める目黒区。目黒不動尊や碑文谷公園といった緑地が点在し、住宅の庭や生け垣など身近な緑が残されているため、緑の多い住宅地というイメージが強い。しかし、住民一人当たりの公園面積は意外に少なく、23区でもワースト5に入る。
このような特性から、目黒区みどりと公園課は、昭和61年に「野鳥のすめるまちづくり計画」、昭和62年には「緑の基本計画~五感の緑をつくる~」などの計画を策定し、緑の量とともに、身近な自然をテーマに人と自然が共存できる緑の質に着目したまちづくりを目指してきた。
「たとえ小さくても、季節感が感じられたり、安らぎを覚えたりできる緑を“質の高い緑”とよんでいます。質の高い緑を大切にし、それらが常に身近にあるまちづくりを進めています」と目黒区が目指す都市緑化について説明してくれたのは、みどりと公園課みどりの係の佐伯彰光さん。
これらをベースに、身近な自然の区民参加型調査もスタートした。ウグイスの初音やセミの鳴き出しなど、日々の暮らしの中で出合ういきものの観察情報を区民から募集。情報は区が観察記録として集計している。
その結果「区から区民、区民から区へという双方向の情報の流れができてきました」と佐伯さんは話す。
情報提供者は「自然通信員」として登録されており、平成22年9月現在の登録件数は1050世帯、毎年1000件以上の情報が寄せられる。中にはハクビシンやタヌキ、都希少種のヤモリなどの目撃情報もある。
自然通信員による情報提供は平成9年から行われており、約10年間の情報や区が行った自然環境基礎調査などの結果をまとめ、去年7月には目黒区で見られた動植物のリスト「目黒区いきもの住民台帳」を作成した。リストには鳥類約150種、植物約1000種、昆虫などが約1000種掲載されており、区立図書館で閲覧できるほか区のホームページhttp://www.city.meguro.tokyo.jp/からダウンロードできる。
また、区の鳥シジュウカラの巣作りの様子などを観察し、その状況を報告する「巣箱モニター」も毎年募集している。平成21年度には15箱の巣箱での巣作りの報告があり、58羽のヒナが孵った。
「自然の調査というのは、10年、20年といった長い期間できちんとデータをとっていくことが大切です。日々の観察を継続し、データベース化する。つまり、昔どんな生物がいたかがわかれば、その環境が想定できます。将来環境を回復する際に大変役立つのです」と佐伯さん。いきもの調査の重要性をこう説明してくれた。
●問合せ/目黒区みどりと公園課みどりの係 TEL 03・5722・9355