NIPPON★世界一 (31)
●株式会社E.I.エンジニアリング ●神戸市中央区(本社)、大田区大森中(東京支社)
●2005年設立 ●従業員数7名
ETOMAS21
株式会社E.I.エンジニアリング
日本にある世界トップクラスの技術・技能―。それを生み出すまでには、果たしてどんな苦心があったのだろうか。
2008年5月にエネルギーシミュレーション・ソフト「ENEPRO21」を開発し、エコ型社会の構築に貢献したE.I.エンジニアリングは、さらに今年6月、改正省エネ法に対応した、エネルギーのトータルマネージメントシステムを開発。その画期的な特徴をご紹介する。
(取材/袴田 宜伸)
従来の省エネ法では、工場・事業場単位で原油換算1500kl以上/月となる場合に限り、エネルギー使用に関する定期報告書や中長期計画書などを提出する必要があった。
だが、今年の4月に法律が改正。対象が事業者(企業)単位に変更された。
それによってたとえばコンビニは、各店舗のエネルギー消費量は1500klに満たないが、約40店舗を展開していると合計が1500klを超える。
そのため、改正省エネ法の対象となり、本社では、各店舗のエネルギー使用量を集計し、エネルギーの管理に努めなければならないのだ。
法改正によって約4万もの企業が対象になると見られるが、事業所数が多いと、集計には相当な労力が必要。それでは省エネしようにも、二の足を踏んでしまいがちだ。
「企業の省エネを支え、エコ社会の構築に貢献したい」
E.I.エンジニアリング・代表取締役社長の小川彰彦氏はそうした思いを胸に、「平成19~21年度国土交通省住宅・建築関連先導技術開発助成事業」の一環として、早稲田大学環境研究所の協力のもと、省エネ改正法に必要な提出書類などを簡単に作成できるソフトの開発をスタートした。
使い勝手の良さをとことん追求
改正省エネ法の精神を汲んで、省エネ、CO2 の削減が確実に遂行できるように慎重に開発を進め、使い勝手の良さもとことん追求。
「総務の方が使うことを想定し、伝票のエネルギー数値を入力するだけで報告書を作成できるようにしました」
登録した1000事業所の中から、電力会社や都道府県単位で該当する事業所を瞬時に割り出せる検索機能、画面ごとのヘルプ機能を充実させ、操作性も向上。
約1年の時を経て、改正省エネ法対応のエネルギートータルマネージメントシステム「ETOMAS21」が完成した。
自社完結型で安心して使用できる
ETOMAS21では、最初に事業所や原単位などの基本情報を入力し、以後は各事業所で電力やガスの使用量を伝票から入力して、バックグラウンドで社内メールを稼働させて本社に送信するだけ。
それらの情報が本社で一括集計され、定期報告書、管理標準、中長期計画書などが作成・出力されるのだ。
「これまでにエクセル型式でまとめられていたエネルギーデータも、本社で一括で読み込めます。また、会社の実状に合わせて事業所でも本社でも入力可能と、自由度が高く、最低限の入力で書類を作成できる一方、詳細な設備データを入力すれば、より精度の高い省エネも実現できる、画期的なソフトです」
インターネットを使用するASP型が多い中、定期報告書に含まれる売上高、従業員数、製品数量などの原単位要素(社外秘情報)の漏洩を危惧して、ETOMAS21は、あえて社内メール方式で処理する、「自社完結型」を採用。
DVD―ROM型にしたことで、低価格も実現。他社製よりも機能が充実していながら価格は約5分の1以下だ。
管理会社向けのETOMAS21 PROも発売
改正省エネ法に対応する余裕のない中小企業のニーズを受けて、管理会社向けの「ETOMAS21 PRO」も同時発売。全国に管理会社のネットワークが設立され、中小企業への省エネ支援が急速に広がるだろう。
「実際に使用されると、いろいろな要望が出てくると思いますので、今後はそうした声を受けながらバージョンアップに努めていきます」
さらなるエコ型社会の実現に向け、E.I.エンジニアリングの挑戦は続く。