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局長に聞く114 都市整備局2018年06月20日号

 
東京の国際競争力強化を担う

都市整備局長 佐藤 伸朗氏氏

都市整備局長 佐藤 伸朗氏

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は都市整備局長の佐藤伸朗氏。都市づくりにおいてハード面を担う都市整備局は、東京の未来を描く重要な役割を担っている。同時に増加傾向の空き家対策などの課題への対応も求められている。佐藤局長に意気込みを伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

「住みやすい」都市づくりも重要

—都市整備局長に着任しての印象は。

 都市整備局は、都市づくり全般や住宅に関わる政策の立案、道路や鉄道などの都市基盤整備、土地区画整理事業や都市再開発事業などによる市街地の整備、宅地開発や建築物に関わる指導、都営住宅の建設・管理、米軍基地対策など、都民生活や企業活動に広く関わる業務を担っている部署です。

 約16年間、都庁人生の半分を都市整備局で過ごしてきました。区画整理課長や都市基盤部長などを経て、都市整備局理事として航空政策、都市交通基盤、交通政策を担当してきました。一方で、建築分野については局長になってはじめて携わることになり、改めて都市整備局の業務範囲の広さを実感しています。

—都市整備局の予算は大きそうですね。

 予算の基本的な考え方は、災害に強い都市づくりの推進や、国際競争力の強化等に資する市街地やインフラの整備、快適な都市環境の形成、豊かな住生活の実現などに向けた施策を積極的に展開するとともに、都市づくりのグランドデザインで示した都市像の実現に向けた取組を推進するための経費を計上しています。一般会計、特別会計、公営企業会計全6会計の今年度の予算合計は3192億4千9百万円です。

—所管事業のうち重点を置くのは何でしょう。

 都市整備局は東京の都市づくりのハード面を担っており、将来の都市像を描きながら、それを実現するために基盤整備などの具体的な取組を立案する必要があります。

 今、大きなポイントとなるのは国際競争力の強化です。例えば、都心部の都市再生により国際的なビジネス交流機能を更に強化することや、羽田空港の都心上空の飛行経路を変え、国際便を増やしてインバウンドを増加させること。そして都市としての魅力を感じてもらうため、道路や鉄道などの機能を強化することが欠かせません。一方で、東京の少子高齢・人口減少社会を迎える中で、あらゆる世代の人が「住みやすい」と感じる、東京に暮らす人の目線からの都市づくりも重要だと認識しています。「駅での乗換をしやすくする」「バリアフリー化する」といった既存施設を更に使いやすくする取組が求められています。

—都市づくりのグランドデザインに基づく取組はどうでしょう。

 都市づくりのグランドデザインでは長期的な視点から目指すべき都市像を示していますが、それを実現するためには今から取組を始めなければなりません。これまで取り組んできた事業に加えて、駅まち一体開発、緑・都市農地の保全・活用、観光都市としての魅力向上など、分野横断的なパイロットプロジェクトを打ち出しています。庁内や官民の連携により、複合的に施策を展開していきます。

 

小規模建物等の耐震化を加速

—住宅ストックの活用も大きな課題ですね。

 東京都は都営住宅という資産を持っています。適切な住宅資産の管理・運営を図るという点ではマネージャーでもありますが、最近は人口動態や経済状況の変化に伴い、空き家対策やセーフティネットとしての役割など、これまでとは異なる課題に直面しており、住宅の政策的な重要性が改めてクローズアップされています。

 空き家についてはここ10年、20年で大幅に増えることが想定されますから、その活用方法については今のうちから検討し、答えを見つけておく必要があります。

—安全・安心の都市づくりに向けての取組は。

 23区内の木密地域の不燃化プロジェクトに関しては、地権者との交渉などに時間を要し、木密地域の解消は劇的には進まないのが現状です。

 区のマンパワーが足りていないので区以外も巻き込んで効率的に動かす仕組みが必要となっています。不燃化の歩みを早めるには民間企業が儲かるような分野を作りたいと思っています。

 また、建築物の耐震化も重要なテーマで、平成30年3月には旧耐震基準で建てられた建築物の耐震診断結果を、建物名を含めて公表しましたが、約3割の建物が震度6強以上の地震で倒壊、または崩壊する危険性があるとの結果でした。

 こうした公表と地道な呼びかけを組み合わせて注意喚起を継続し、今後は、未耐震の一般住宅など小規模建物を含め、耐震化をより加速させていきます。

—2年後の東京2020大会については。

 都市整備局関係で一番大きいのは選手村の整備です。まず、何と言っても工期内で完成させることが一番重要です。また、使用後はマンションとして販売するので、大会後の分譲も視野に入れ計画を進めます。

 選手村は色々な事業が錯綜しているので、その中で全体の事業がちゃんと仕上がるように動かしていくのが難しいところです。事業局としての力量が問われます。

—最後に職員に向けてメッセージを。

 都市づくりは未来形の話ですので、職員一人ひとりが東京の将来に対して思いを持つことが大事です。そのためには都民とじかに接して本音で話し、それを踏まえて考えることが東京の都市像をどうすべきかということに結びつきます。現場を大事にしてほしいです。

 

 

 

 

タグ:東京都 都市整備局 

 

 

 

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