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局長に聞く113 多摩水道改革推進本部長2018年05月20日号

 
多摩水道の特徴踏まえ施策を展開

多摩水道改革推進本部長 岸本 良一氏氏

多摩水道改革推進本部長 岸本 良一氏

 東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は多摩水道改革推進本部長の岸本良一氏。広大な多摩地域の水道事業を担い、給水の安定化に向けた様々な施策を講じてきたところだ。エネルギーの効率化、災害やテロへの備えなどにも取り組む本部の現状を伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

エネルギーの効率化を推進

—昨年4月、多摩水道改革推進本部長に就任されました。

 水道局は12年ぶりですが、安定給水という使命を果たすため、局が一丸となって取り組むという気風は変わっていないと感じます。

 多摩水道においても、給水安定性の向上に向け様々な施策を推進してきました。多摩丘陵幹線の整備など、これまでの着実な取組により、かつてと比べ給水安定性は格段に向上しています。しかし、市町営水道を一元化した経緯から、市町域を越えた配水管網の整備が不足している等の課題が残っており、対応を進めています。

—課題への対応は。

 まず、配水区域の再編です。山間部から市街地まで多様であるという多摩地区の特徴を踏まえ、水源や地形、地盤の高低差や給水件数等の地域特性に応じた4つのエリアで、市町域に捉われない合理的な配水区域に再編します。長期間にわたる取組となりますが、施設の老朽化状況等を勘案しながら計画的に進めていきます。

 また、首都直下地震等の切迫性が指摘されている状況等に鑑み、災害などに備えた施設整備にも取り組みます。

 多摩直下地震の場合、多摩地区の一部で最大震度7に達する地域が発生し、震度6強の地域も広範囲に及ぶという被害想定が出されていますが、多摩地区の水道施設は、昭和40年代から50年代にかけて築造されたものが多く、耐震基準を満たしている施設は3割程度にとどまっている状況です。このため、停止した際の影響の大きさなど、施設の状況を踏まえて耐震化を進めています。

 このほか、テロ行為や火山噴火に伴う降灰等が発生した場合に備えた浄水施設の覆蓋化、浸水被害が生じる可能性のある浄水所等への止水壁等の整備、山間部の小規模浄水施設等における警備強化などにより、地震以外の様々な脅威にも備えています。

 水道管路でも、震災時の断水被害軽減や早期復旧に資する耐震継手化に加え、多摩南北幹線(仮称)の整備による広域的な送水管ネットワークの構築などを進め、災害や事故時等における給水安定性の向上を図っています。

—施設更新時にあわせ、エネルギー効率化も進めているそうですね。

 再生可能エネルギーの導入やポンプ施設の効率化など、エネルギー効率の高い水道システムへの改善を推進しています。

 水道局における年間の電力使用量は、都内での総電力使用量の約1%相当と、エネルギーを大量に使用する事業者として、エネルギーの効率化を着実に進めることが必要だと考えています。

 「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」において、地球温暖化対策の推進の程度が特に優れた事業所を東京都知事が認める仕組みがありますが、平成28年度の八坂給水所等に続き、平成29年度は、羽村導水ポンプ所がトップレベル事業所、稲城ポンプ所が準トップレベル事業所に認定されました。

 

お客さまセンターを一元的に管理

—住民に身近なサービス面の取組は。

 これまでも業務改善やサービス向上に努めてきましたが、市町単位での業務に対応する必要があったこと等から、処理の一部に区部と多摩地区とで差異が残っています。このうち特に、お客さまへの影響があるものについては、可能な限り速やかに解消していきたいと考えています。

 平成29年4月からは、区部と同様に多摩地区でも検針時に請求書をその場で発行できるようにし、お客さまの利便性向上を図りました。

 また、お問い合わせなどを電話等で受け付けている総合窓口であるお客さまセンターは、現在、区部と多摩地区それぞれの地域を対象に運営していますが、これを一元的に管理するための取組を進めています。

 一元管理により、お客さまをお待たせする時間の短縮や、災害発生時などにおけるバックアップ体制の強化が期待できます。こうした取組とあわせて、区部と多摩地区で別々に運用している料金徴収システムについても、統合により、業務効率性の更なる向上を図っていきます。

—最後に今後の意気込みをお願いします。

 水道は基幹ライフラインであり、生活に不可欠なものです。成り立ちや事業環境が区部とは異なっていても、多摩地区で安全でおいしい高品質な水を安定して供給するという使命を果たしていくため、職員や監理団体はもちろん、地元市町や工事事業者など様々な関係者と連携していきたいと考えています。

 一方で、多摩水道の市町営水道を都営一元化してきた成り立ちや、小規模施設等を活用して事業を運営している現在の姿は、国内の広域化を検討している事業体や中小事業体において参考事例となりうるものです。

 厚生労働省でも基盤強化等を目的に水道法改正案を上程している中、当局は国内最大の水道事業体として国内水道界への貢献を求められており、他事業体が活用しやすいノウハウや技術力を持つ多摩水道改革推進本部が局内事務局となって、国内貢献事業を展開しています。今後も、強靭で信頼される広域水道を目指し、多摩水道の特徴を踏まえた様々な施策に取り組みます。

 

 

 

 

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