真価問われる小池都政2018年05月20日号
一昨年8月、圧倒的な支持率のもと、最高のスタートを切った小池都政は、昨年7月の都議選で自身が代表を務める「都民ファーストの会」が圧勝、都議会で安定多数を確保し万全の態勢が整った。
政策面では豊洲市場の移転凍結で過去の都政の問題点をあぶりだしたとして一定の評価を得たほか、SNSやインターネットを活用した情報公開など都政改革を推進、多くの都民の支持を得た。
しかし、その勢いに乗って臨んだ昨年10月の総選挙では党首として立ち上げた「希望の党」が惨敗、これを契機に潮の流れは一気に変わった。小池知事の国政進出に対しては、強権的な発言や都政との「二足のわらじ」に批判が集中、求心力は大きく低下した。
小池知事は新年度になってから、連日のように各種イベントへの出席、福祉施設などの視察、著名人との面会をこなしているが、できるだけ多くの人との交流に努め露出を増やすことで、イメージ回復を狙っているようにも見える。
□豊洲移転めぐり課題山積
これまで小池知事のリーダーシップの象徴ともされてきた豊洲移転問題だが、10月11日の開場を前に、依然として千客万来施設を整備する万葉倶楽部との交渉が難航している。移転後の築地再開発についても知事が当初、市場機能を残すと発言したことへの不信感が根強いほか、跡地の有償所管替えなど財政面での課題も残る。
移転延期でストップしている環状2号線整備も2020年大会との関係で重要な問題だ。
□受動喫煙防止条例の行方は?
小池知事が最も力を入れている政策のひとつの受動喫煙防止条例の制定では、先ごろ骨子案が発表され、国の改正法案よりも厳しい内容が盛り込まれた。知事としては条例制定で、健康・環境重視の姿勢を強調したいところだが、従業員のいる飲食店を原則禁煙としたことで、中小飲食店への影響が大きいなど、見直しを求める声があがっており、6月の第2回定例会での行方が注目される。
□都民ファーストの会への疑惑も
知事を支える都民ファーストの会の議員が、知事側近の作成した質問で委員会質疑を行ったとされる「やらせ質問」疑惑は未だ真相が明らかになっていないほか、本会議の代表質問での知事関与疑惑も浮上している。
この問題に関して意見を述べた都民ファ議員のブログに対し、会派幹部が削除を指示したことも発覚、情報公開と逆行するとの批判も出ている。
都民ファは区議選での惨敗が相次ぐなど、支持率低下に歯止めがかかっていないのが現状。都議会過半数の維持のため、キャスティングボートを握る公明の意向を最優先せざるを得ない状況の中、都民ファの存在感が薄れていることも影響しているとみられ、知事にとっては頭の痛い問題といえそうだ。
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