「住宅局」の復活を2018年03月20日号
平成15年の組織再編でなくなった「住宅局」の復活について、小池知事は開会中の都議会第1回定例会で1日、公明党の代表質問に答える形で、「4月の執行体制強化に向け、ふさわしいあり方を検討する」と前向きの姿勢を示した。
住宅局復活の要請に都知事が前向き答弁
「4月の執行体制強化に向け検討する」
住宅困窮者に提供される都営住宅は区部に16万7千戸、多摩に9万2千戸と計約26万戸あるが、このうち約11万戸は昭和40年代以前に建設されたもので、順次建替えが行われている。
石原都政が誕生した平成11年以降、都は既存ストックの有効活用に舵を切り、都営住宅の新規建設は行われていない。
平成15年には行政改革の一環として、住宅局を廃止、都市計画局、建設局の市街地整備部門と統合し、新たに都市整備局として組織を再編した。背景には縦割りとなっていた関連部門の統合で、木密地域の解消を促進する目的もあった。
都議会では共産が住宅局の廃止は住宅行政の後退と批判、これまで一貫して都営住宅の新規建設を求めて続けている。
公明は居住の安定と充実は住民福祉の根幹だとして、住宅行政の強化を要請、機会あるごとに、「住宅局」の復活を訴えてきたところ。
小池知事が誕生した平成28年12月の第4回定例会では、長橋桂一幹事長(当時)が、「空き家対策など新たな課題に本格的に挑むためにも、都の住宅行政は抜本的にてこ入れすべき段階を迎えている」と指摘、「今こそ、新時代に応じて住宅部門をリニューアルし、局を復活させるべきだ」と求めたが、このとき小池知事は「効率的かつ効果的な執行体制が必要」としながらも、「ふさわしい組織のあり方は検証する」と述べるにとどまった。
今回、東村邦浩幹事長は「空き家対策のほか、都営住宅などの管理・運用、少子高齢化や人口減少への対応、災害被害の未然防止や省エネの推進、中古住宅の流通の活発化など、東京の住宅政策は多岐にわたる」とした上で、「こうした課題を機能的に解決していくためには、住宅局の復活が不可欠であり、知事の決断を求める」と強く迫った。
これに対し、小池知事は「4月に執行体制の強化を図るが、効率的かつ効果的な執行体制となるよう、ふさわしい組織のあり方を検討していく」と年度の替わる4月に向けて前向きに検討していく考えを示した。
4月という具体的な期日を示したことで、何らかの対応を図ることを示唆したもので、現在、都議会でキャスティングボートを握る公明に対し、これまで以上に踏み込んだ答弁をした形だ。
ただ、局としての復活となると影響も大きいことから、どのような判断をするか注目される。
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