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局長に聞く112 青少年・治安対策本部長2018年03月20日号
青少年・治安対策本部長 大澤 裕之氏
東京都の各局が行う事業を局長自らが紹介する「局長に聞く」。今回は青少年・治安対策本部長の大澤裕之氏。マナーが問われる自転車対策や、18歳未満の子供の「自画撮り被害」の対策などについて、その取り組みを伺った。
(聞き手/平田 邦彦)
自転車の安全利用の促進へ
—自転車対策は大きなテーマのひとつですね。
自転車施策については、来年度から自転車の点検整備に係る新しい補助制度を創設します。本事業は都民の方からの事業提案を受けたもので、自転車点検整備の重要性の普及啓発を行い、住民による自転車点検整備を支援する区市町村に点検整備費を補助します。近年、自転車が起こした事故では対人においては死亡事例も増えており、事故の賠償金も莫大な金額となっています。新しい補助制度を通じて、都民の方へ定期的な点検整備を促し、自転車の安全利用につなげたいと思います。
また、自転車のマナーについては批判を耳にすることも多いですが、子供の頃にしっかりと安全教育を受けることが重要です。車と違って交通ルールを確実に教える機会が限定されているので、ここをサポートする必要があると感じています。講習会をはじめ、学校で学べる機会をしっかり作らなければと考えています。平成29年中の都内の自転車事故件数は1万949件で、全事故における割合は3割を超え、全国平均の約2割を上回っています。着実に対策を講じなければなりません。
—都民の安全安心を守る治安対策の主な施策をお聞かせください。
多くの高齢者が被害に遭っている特殊詐欺は大きな問題です。平成29年の都内の特殊詐欺認知件数及び被害額が前年と比較して増加していることが挙げられます。都では特殊詐欺の抑止効果が高い自動通話録音機の区市町村への設置補助を行っていますが、30年度は補助台数を拡大して設置を更に促進していきます。また、警視庁や区市町村と連携して、特殊詐欺根絶イベントなどの普及啓発にも効果的に取り組むことで、ハード・ソフト両面から特殊詐欺への対策を講じていきます。
—地域の防犯カメラの設置も進んでいますね。
町会・自治会・商店街等が設置する防犯カメラの設置費用について、地域での需要に応じて区市町村補助を行っています。本補助制度の活用に当たっては地域団体による見守り活動の実施をお願いしており、防犯カメラの設置を契機に、地域の見守り活動が活発に展開されることを目的としています。23区ではこのような仕組みが整いつつあり、多摩地域でも16市でこのような枠組みが出来上がっています。
—東京は地域とのつながりが薄いと言われていますが、結びつきをいかにサポートするのか難しいところですね。
犯罪を未然に防止し、地域における安全安心を確保するためには、地域住民の防犯活動に加え、事業者の役割も重要です。都では、地域の見守りの目を増やすため、地域を巡回する事業者と協定を締結し、子供や高齢者等を見守るネットワークを構築する「ながら見守り連携事業」を推進しています。
昔は地域社会の中で仕事をしている人が多かったのですが、今は会社勤めで地域の外で働く人が増えています。本業がある中で、言わば「ながら」で構わないので勤め先の地域を見守ることをお願いしたいと思っています。従来、自分たちが住んでいたところへ、そこを勤め先にしている人達を重ねることで、地域の見守りが新しい形になると思います。防犯カメラと合わせ、地域における見守り活動の充実は子供の安全対策にもつながるものであり、力を入れていきたいです。
LINEでの相談を試行
—「自画撮り被害」の防止に向けた取組をするとのことですが。
18歳未満の子供が騙されたり脅されて、自分の裸の写真を撮影させられた上、それをメール等で送らされる、いわゆる「自画撮り被害」が問題になっています。以前は画像が加害者に送信・提供されるまでは規制できませんでした。しかし、一度送ってしまうとネット上に画像が拡散する危険性が非常に大きく、すべてを削除することが困難になります。そこで、このような「自画撮り被害」から子供たちを守るため、東京都青少年健全育成条例を昨年改正し、本年2月に全国に先駆けて施行しました。改正条例では、青少年に裸体等の「自画撮り画像」を不当に求めることは犯罪となり、30万円以下の罰金が科されます。
青少年には「相手からどんなに要求されても送ってはいけないこと」を意識してもらい、画像を送る前に相談窓口に相談してもらうことが肝要です。都の子供のネット・ケータイトラブル相談窓口「こたエール」では、来年度LINEを活用した相談を試行するなど、青少年が相談しやすい環境の整備を図ります。
—次代を担う子供や青少年が安全安心に健やかに成長していける環境づくりが大事ですね。
子供は成長に伴って、保護者から離れて行動範囲や交友関係が広がります。これに伴い出会う危険も様々であり、その成長段階に合わせた対策が必要です。小学校に入学する時期の交通安全対策、ネットを利用し始める時期に必要とされる知識の普及など、安全安心に資する施策を切れ目なく講じていきます。その意味では、高齢者も同様です。都民の治安対策への要望は高く、根強いものです。安心を都民に感じて頂くためには、こうしたきめ細かい対策を丁寧に打っていく必要があります。
タグ:東京都 青少年・治安対策本部 自転車事故対策 特殊詐欺被害 自画撮り被害 こたエール