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局長に聞く111 環境局長2018年02月20日号
環境局長 和賀井 克夫氏
東京都の各局が行う事業を局長自ら紹介する「局長に聞く」。今回は環境局長の和賀井克夫氏。東京都の環境施策は公害問題に端を発し、国に先んじたものも多く、さらにその守備範囲も広いのが特徴だ。温暖化対策や食品ロスなどの資源環境問題、東京の緑を守る取組みなどについてお話を伺った。
(聞き手/平田 邦彦)
意欲的な温室効果ガス対策
—古巣の環境局に戻られて3ヵ月が過ぎました。ご感想は。
局長になって改めて感じたのは、局の守備範囲の広さです。エネルギー対策、自動車の排ガス対策、土壌汚染、自然環境、環境アセスメントなどの様々な分野を展開していることから職員は理系が多いのも特徴で、スペシャリスト揃いです。
パリ協定の締結・発効により、世界の低炭素化、さらに脱炭素化に向けた動き、EV(電気自動車)化への流れが加速しています。都もこうした世界の動向を視野に、スピード感をもって施策を進める必要があると思います。
—これまでも都は、国や世界に先駆けた先進的な環境施策を実施してきました。
世界初の都市型キャップ&トレード制度の導入による、都内大規模事業所の二酸化炭素排出量の削減や、ディーゼル車対策による大気環境の改善など、国内外の環境施策をリードしてきました。
環境局の前身は公害局です。その時から公害問題に率先して取り組み、国よりも先んじた施策を展開してきた歴史があります。こうした伝統を土台に、世界や時代の流れに応じた施策を今後も積極的に展開していきます。
—地球温暖化対策は今後、どのような取組みを進めるのでしょう。
環境基本計画で定めた温室効果ガスの排出削減目標では、国を上回る高い目標(2030年までに2000年比30%削減)を掲げています。
目標の達成に向けて、キャップ&トレード制度の着実な運用を進めるとともに、2020年度からの第3計画期間に向けた制度検討の準備を進めています。
また、この制度の対象事業者の協力を得ながら、これまで生み出した超過削減量(CO2クレジット)を活用して、東京オリンピック・パラリンピック大会の開会式・閉会式の合計4日間、都内で排出される全てのCO2をゼロにする取組み、「東京ゼロカーボン4デイズIN2020」を実施します。省エネに向けた都民・事業者の気運をさらに盛り上げていきたいと思っているところです。
その他、昨年から実施しているLED電球の交換事業や、エコハウスの普及啓発により家庭部門における省エネ行動を促進するとともに、再生可能エネルギーの導入拡大や水素社会実現に向けた取組みなど、様々な施策を総合的に進めます。
さらに、ZEV(排出ガスを出さない電気自動車などのこと)、ZEI(ゼロエミッション・アイランド)、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の促進に向けた施策にも取り組み、将来的にCO2を排出しない「ゼロエミッション東京」の実現を目指していきます。
食品ロスにも積極的な取組み
—小池都知事はよく「もったいない」という言葉を使います。資源循環の分野では、どのような施策を進めていますか。
持続可能な都市づくりに向け、資源循環の推進は重要な課題です。
例えば、本来食べられるものであるにもかかわらず捨てられてしまう食品ロスですが、日本全体の1年間の量は都民が食べる1年間の食品の量に匹敵すると推計されています。
2030年までに食品ロスを半減させる国連目標に向けて、製造・流通・販売の事業者や消費者団体の方々も加わった「東京都食品ロス削減パートナーシップ会議」を設置し、議論を進めています。
あわせて、食品を無駄にしないライフスタイルへの転換を呼び掛けるキャンペーンを展開していきます。
こうした取組みを進め、消費者、事業者、そして行政とが協働することで「食品ロス削減・東京方式」の確立を目指していきます。
—東京は都市部だけではなく、多摩・島しょ地域に豊かな自然を有しています。
都心部では、東京駅の行幸通りが拡幅されたおかげで、随分と緑が目に付くようになってきました。ビルの再開発で生じる空地を活用し、緑化や屋上緑化等も進めています。
多摩・島しょ地域では、都内最高峰である雲取山周辺の亜高山帯から小笠原諸島の亜熱帯まで多様で豊かな自然環境がひろがっており、都内の約36%のエリアが自然公園に指定されています。
自然の豊かさを確実に次世代に継承していくとともに、内外の多くの方々にその素晴らしさを味わっていただくために、昨年、全国で初めてとなる自然公園ビジョンを策定しました。
今後、ビジョンに示した施策を着実に実施することで、豊かな自然環境の保全を図りつつ、さらなる利用促進・地域振興を進め、東京の自然公園の価値を最大限発揮していきます。
—最後に今後の意気込みをお聞かせください。
これまでお話しした地球温暖化・エネルギー対策、資源循環の推進、自然環境施策にとどまらず、快適な大気環境、良質な土壌と水循環の確保など、環境行政は50年、100年先にどうなるかを念頭において対応していくべきものです。
現在の都民だけではなく、50年、100年後の都民、まだ生まれていない子供たちにも評価される施策を考え実行することで、持続可能な環境先進都市の実現を目指します。
タグ:東京都 環境局 地球温暖化 食品ロス 温室効果ガス