小池知事に各会派から苦言2017年12月20日号
小池知事が立ち上げた「希望の党」が10月の総選挙で大敗した後、初の定例会となる第4回定例会が12月1日から15日までの15日間で行われた。知事の国政進出に対して都民ファーストを除く各会派から厳しい声が相次ぎ、与党・公明党からも厳しい声が上がり、今後の都政運営に課題を残す結果となった。小池知事は「私自身の行動により、都議会、都民を困惑させ、心配をおかけした」と謝罪、「みずからを厳しく省み、改めて都民第一、都民ファーストの姿勢で都政に専念をしていく」と今後は都政に専念する姿勢を強調したが、信頼を取り戻すには時間がかかりそうだ。
都議会4定代表質問
知事「都政に専念する」と強調
与党公明からも厳しい指摘
小池知事は1日の所信表明の冒頭、先の総選挙で新党を立ち上げ国政進出を目指したことについてふれ、「多くの皆様にご困惑、ご心配をおかけした。自らを厳しく省み、改めて都民第一、都民ファーストの姿勢で、都政に専念したく、ご指導、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げる」と陳謝した。
これを受けて行われた6日の代表質問では、都民ファースト以外の各会派が知事の姿勢を厳しく指摘、都政に専念するよう釘を刺した。
都民ファーストとともに、知事与党として小池知事を支えてきた公明の橘正剛氏は「今、多くの都民が知事に求めているのは、豊洲市場への移転、入札契約制度改革の見直し、2020東京大会に向けた施設整備や経費縮減など、知事みずからが着手した改革や見直しに、みずからが決着をつけることだ」と指摘、「知事が進めてきた改革の成果を都民が実感できない中、新たな改革を打ち出しても、実績の裏づけと決着を伴わない政策は虚妄となる」と苦言を呈した。
自民の鈴木章浩氏は「都政は大きな困難に直面しているが、その困難は、この一年の知事の思いつきによるものだ」と指摘、希望の党代表を辞任したことについても「唐突に国政から身を引き、都政に専念するとの方針は、有権者を裏切る行為。何のための国政進出だったのか」と批判した。そして、「謝罪とともに、政治家としての信念を都民に語るべきであり、その言葉がないのであれば、知事のおっしゃる都民ファーストは、余りにも空虚といわざるを得ない」と断じた。
共産の米倉春奈氏は「知事は、都政では反自民の改革者として振る舞い、人気を得たが、総選挙での行動は、窮地にあった安倍政権を助け、自民単独過半数という結果を招いた」と批判、民進の西澤圭太氏は「総選挙では知事が任期半ばで都政を投げ出すのかと懸念する声も聞かれた。任期を全うするのか」と、改めて都政に専念する決意を質した。
一方、都民ファーストの山内晃氏は「総選挙を経て、小池知事が都政に一層専念することを期待する」と述べるにとどめ、踏み込むことはなかった。
相次ぐ批判に対して、小池知事は「みずからを厳しく省み、改めて都民第一、都民ファーストの姿勢で都政に専念をしていく」と繰り返し、低姿勢に終始した。
さらに、豊洲市場への移転に向けては追加対策工事で不調が相次いだほか、築地の再開発も先行きが不透明な状況で、2020年大会に向けた準備も待ったなしの状況。頼みの公明が今回の国政進出をめぐり、小池知事と距離を置く姿勢に転じており、都議会は与党の安定過半数とは言えないのが現状だ。来年度予算編成が佳境を迎える中、一層苦しい都政運営を迫られることになりそうだ。
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