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伸ばせ!健康寿命 第23回2017年11月20日号

 
伸ばせ!健康寿命
自分の“健康寿命”について、考えたことがありますか?長生きできても健康でいられなければ、いきいきとした時間を過ごすことはできません。そこで、健康とスポーツを科学的に研究し、健康運動指導士の資格をお持ちの後藤真二氏に、“誰でも” “今から” “簡単に”行える健康寿命を延ばすエクササイズを紹介していただきます。

 

運動効果を高める栄養と休養

 元気に歩き続けるには身体を動かすエンジン、筋肉がとても大切です。筋肉の維持・向上には運動が必要なことはおわかりでしょうが、実は運動だけ一生懸命に頑張っても、効果が出ないこともあります。

 筋肉は運動で鍛えられますが、それが強くなるのは運動中ではありません。運動で疲れた筋肉は睡眠中にたんぱく質を材料にしてより強く作り直されるのです。

 もしも筋肉の原料になるたんぱく質が足りなかったり、それを作る睡眠時間が短かいと、疲労が蓄積して身体を鍛えるどころか衰えてしまうこともあるのです。筋肉を鍛えるには、トレーニング後、できるだけ速やかにたんぱく質を摂取して十分な睡眠をとることが重要です。

 ところで、平成28年「国民健康・栄養調査」によると、運動習慣がある人の割合は近年増えています。しかし、睡眠で休養が十分にとれていない人の割合は、高齢者でも増えていて、特に高齢の女性では、低栄養傾向の人が最近10年間で増加しています。

 つまり最近の日本人は、運動の機会は増えたのに、栄養や休息が十分とれなくなっているのです。これでは身体を鍛えるどころか、疲労をためるだけです。こんな時代だからこそ、ずっと元気で歩き続けるために、運動だけでなく栄養や睡眠がとても大切なのです。

 私たちは、年をとると食が細くなりがちです。また脂ものを避け、肉などたんぱく質摂取が不足する傾向にありますが、それは良くありません。自分の食事が適切かどうか、まずは体重を毎日測る習慣をつけましょう。

 もしも体重が減ってきたら、食事で十分な栄養がとれていない可能性があるので注意が必要です。でもそれだけではなかなか自分の食事が適切かはわかりません。やはり専門家に診てもらうことが大切なので、自治体の行う栄養相談などを有効活用してたんぱく質不足を防ぎましょう。

 また、睡眠も加齢とともに質が低下すると言われます。睡眠の質を高める方法の一つは、夕方に身体を動かして体温を上げることです。また筋力トレーニングも睡眠の質を高めると言われています。

 そう考えると、ロコモ予防には、夕方に筋力トレーニングを含む運動をしたあと、時間をあけずに夕食でたんぱく質を適切に摂取して、しっかり睡眠をとることが大切なのです。

 皆さんも運動、食事、休養を別々に考えるのではなく、ご自分の生活パターンに合わせて、それらをうまく組み合わせる方法を工夫してみてください。

 


後藤信二氏

後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長

 大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。

 

 

 

 

タグ:健康 運動 体操

 

 

 

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