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伸ばせ!健康寿命 第21回2017年09月20日号
股関節を動かそう
元気に歩き続けるために、これまで膝を伸ばしたり足首を動かすエクササイズをご紹介してきました。今回は脚の付け根、股関節を動かす大切さをお話します。
はじめに運動の効果を試してみましょう。姿勢を正して椅子に座り、上半身を後ろに倒さないように注意しながら膝がどこまで上げられるか確認します。膝を上げられる高さがわかったら、今度は両手で膝を持ってできるだけ胸に近づけて10秒維持します。そして足を下ろして、膝がどこまで上がるかもう一度確認してください。
多くの方は、2回目の方が膝は高く上がったでしょう。これは、いったん膝を胸に抱えることで、お尻や腿の裏側の筋が伸ばされ股関節が動きやすくなった、つまりストレッチングの効果です。
日常生活では、座った状態からいきなり立って歩くのが普通ですが、それは脚が上がりにくい状態で歩き始めていることになります。長く椅子に座っていたり、朝目覚めた時などは、左右の膝を少なくとも一度は胸に抱えるようにしてから歩いた方が歩きやすく、転倒しにくくなります。
ところで、股関節は前後だけでなく、いろいろな方向に動かせる関節です。でも普通に歩いているだけでは、ほぼ前後にしか動かしませんし、その範囲もあまり大きくありません。意識して股関節を大きく動かしていないと、急に何かを跨がなければならない時など、思ったように脚が上がらないことが起こります。
それを防ぐには、日頃から股関節をいろいろな方向に動かしておくことです。椅子に座って行う場合、冒頭にご紹介した膝を胸に抱える運動のほか、足を組んだら膝を反対側の胸に近づけるようにする運動や、膝を手で持って前だけでなく、横に上げたり回したりして、いろいろな方向に動かしてあげましょう。
それらの動きを日常生活に活かしてしていくためには、立って股関節を動かす運動がお勧めです。椅子に掴まったり壁を支えにしながら、脚をいろいろな方向に動かします。まずは前後に小さく、だんだんと大きく動かしましょう。横方向も同じです。また、後ろから前、逆に前から後ろに物を跨ぐ動作を行ってください。こうすることで、股関節周辺の筋肉のストレッチングとトレーニングが一緒にできます。ちょっとした時間に少しずついろいろな動きを行うことで、いつでも動ける体を保ちましょう。
後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長
大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。
タグ:健康 運動 体操