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局長に聞く106 下水道局長2017年09月20日号

 
下水道事業「経営計画2016」の着実な推進

下水道局長 渡辺 志津男氏氏

下水道局長 渡辺 志津男氏

 東京都の各局が行う事業について、局長自らが説明する「局長に聞く」。今回は下水道局長の渡辺志津男氏。都民生活に必要不可欠な下水道にとって、老朽化した施設の再構築は喫緊の課題のひとつ。その取り組みや近年多発する浸水対策などの取り組みについて伺った。

(聞き手/平田 邦彦)

東京の持続的発展に貢献

—局長就任にあたっての感想、意気込みは。

 下水道は、1300万都民の安全で快適な暮らしと首都の都市活動を支える、不可欠で重要なインフラです。その機能を安定的に発揮するためには、老朽化施設の再構築や震災対策、近年多発する局地的な集中豪雨への対策などを着実に進める必要があります。局職員2500名の先頭に立って、都民サービスの向上を目指し、事業を前に進めたいですね。

—現在、局が進めている事業の内容は。

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会とその先を見据え、2016〜20年度の5年間に展開する事業運営の指針として「経営計画2016」を策定しています。

 まずは老朽化施設の再構築です。

 東京では、高度経済成長期に集中的に整備した下水道施設の老朽化が急速に進行しています。下水道管の劣化状況を調査、評価し、適切に維持管理することで、ライフサイクルコストの最小化を図るアセットマネジメント手法を活用し、経済的な耐用年数となる80年程度まで延命化を図っています。

 浸水対策ですが、都は1時間50ミリ降雨への対策を基本としています。しかし大規模地下街に加え甚大な被害が生じた市街地では、整備水準を1時間75ミリにレベルアップするなど、地域特性を考慮して重点的・効率的に施設整備を進めます。

 ソフト対策では、降雨情報システムの「東京アメッシュ」の改良を行い、平成28年度からは降り始めの時間1ミリ以下の弱い雨まで捉えることができます。本年4月からはGPS機能による現在地表示等が可能なスマートフォン版も配信しました。

 合流式下水道の改善では、雨天時に浸水から街を守るために合流式下水道から河川や海などへ放流される汚濁負荷量を削減するため、降雨初期の、特に汚れた下水を貯留する施設の整備を積極的に進めているところです。

 これに加え、水再生センター内では既存の沈殿施設の改造により、雨天時の汚濁物を効率的に除去する高速ろ過施設の早期導入が可能となりました。これを組み合わせることで、整備ペースを年間7万2千立方メートルへと倍増させ、平成31年度末までに150立方メートルに相当する貯留量を確保します。

—下水道のエネルギー・温暖化対策についてはいかがですか。

 エネルギーを大量に消費する大都市東京で、当局は都内の電力使用量の1%強というエネルギーを下水処理の過程で使用しており、エネルギー需給の問題で大きな責務を負っていると認識しています。

 そのため、エネルギー基本計画「スマートプラン2014」を策定し、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギーのさらなる推進に向けた取り組みを行います。

 また、当局は都庁全体の事務事業活動から排出される温室効果ガスの35%を占めており、地球温暖化防止にも大きな責務を負っています。本年3月、地球温暖化防止計画「アースプラン2017」を策定しました。「スマートプラン2014」との両立を図りながら、当局の温室効果ガス排出量を2030年度までに2000年比で30%以上削減するという一段高い目標を設定し、その達成に向けた具体的な対策を明らかにしています。

 

「東京下水道」を世界へ発信

—来年9月には日本初開催となる国際水協会(IWA)の世界会議・展示会が東京で開催されます。

 開催国委員会の会長は小池知事です。水道局等と力を合わせて成功に向けて必要な準備を進めていかなければなりません。東京下水道の優れた技術を発信し、海外諸都市の抱える課題解決に貢献する機会にしたいと強く思っているところです。

 東京の下水道は、急速な都市化に合わせ集中して施設整備を重ね、平成6年度末に普及概成を達成しています。普及概成以後も膨大なストックの老朽化や多発する局地的な豪雨等の課題に対し、常に現場で創意工夫を重ねながら、その解決に先駆的かつ積極的に取り組んできました。

 大会では世界に誇るべきこれらの技術やノウハウを積極的に国外に広く発信し、下水道が未整備または整備されていても十分に機能が発揮されていない国等の課題解決に役立てていくほか、取り組みを通じて下水道事業全体の活性化と産業力の強化に結び付けたいですね。

—事業を推進する上での局の課題は。

 若手職員の技術継承です。

 下水道局の職員構成は、10年前は20代、30代の職員が20%程度でした。団塊の世代といわれる職員が退職し、新人採用にも努めたことにより、現在は40%、10年後は60%近くが若手職員になるでしょう。

 若手職員が多い職場は活気がありますが、膨大な事業を今後も着実に推進するためには、若手職員に早く下水道事業に関する技術を身に付けて力を発揮してもらう必要があります。

 そのため3年前から技術継承検討委員会を立ち上げるとともに、現場を体感する機会の確保、電子図書館の整備、技術継承担当のベテラン職員の配置など様々な取り組みを組織的に推進し、下水道技術やノウハウを次世代に継承していきます。

 

 

 

 

タグ:東京都下水道局長 経営計画2016 アースプラン2017 スマートプラン2014 老朽化施設の再構築 東京アメッシュ 国際水協会

 

 

 

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