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伸ばせ!健康寿命 第19回2017年07月20日号
お風呂でエクササイズ
高温多湿の東京の夏、この時期に外での運動は辛いし、場合によって熱中症などの危険も伴います。そこで今回は、汗をかいてもそのまま流せるお風呂でのエクササイズと入浴の効用をお話しします。
起きている間、体の中の水分は重力で足の方に引っ張られています。その結果、血液は下半身に溜まり、血管が膨らんだり血液中の水分が組織に滲み出たりしてむくみを起こします。これは体を横にすることでも改善しますが、入浴はより短時間でそれを回復します。
入浴中、水に沈んだ部分は水圧で押しつぶされます。するとそこにある血液やリンパ液も押され、体の中心部に戻されるので、むくみ解消はもちろん体に溜まった老廃物なども速やかに取り除かれます。また入浴で体が温まると血行が良くなり、これを促進します。
さらに水中では浮力の影響で、水に浸かった部分が無重力状態のようになるので、筋肉はとてもリラックスして、ストレス解消にも効果的です。
以上のことは普通に入浴しても起こりますが、湯船の中で体を動かせば運動不足を解消しながらより積極的に回復を促します。
例えば湯船の中でバタ足をします。バタ足と言っても膝は曲げた状態で大丈夫です。足首を軽く伸ばして上下に動かすと、周辺の筋肉の力が抜けて足首が伸ばされるとともに、太腿がトレーニングされ、疲労回復も促進されます。
膝を立て座り、脚を閉じたり開いたりすれば内腿と外腿の引き締めにもなります。湯船の広さによっては片足ずつ行いましょう。また脚を曲げたり伸ばしたりすれば、曲げる時には腹筋が、伸ばす時には腿の筋肉が鍛えられます。いずれも水の抵抗を感じながら、動かす速さで自分にあった強さの運動ができます。
ところで皆さんは、ヒートショックプロテイン(HSP)という名前を聞いたことがありますか? これは、傷ついた細胞を修復したり、いらなくなったものを壊したりするタンパク質で、免疫力を高め肌のシミやしわを防ぐなどの働きをすると言われます。熱めのお湯に20分程浸かると出てくると言われますが、少々大変ですね。でも身体を動かせば体温は素早く高まるので、静かに入浴しているよりも短時間でHSPが出てくるでしょう。
なお、これらを行う場合は、入浴前はもちろん必要に応じて入浴途中でも水分補給をしてください。
暑い夏、ぜひお風呂を有効活用してみませんか?
後藤 真二(ごとう しんじ)
スポーツクラブNAS株式会社 スポーツ健康医科学研究室 室長
大学教員を経て2008年より現職。「ココロ、ウゴカセ」の経営理念に基づき、単なる運動の場ではない、子供から高齢者まで誰もが楽しんでいるうちに健康になれるクラブづくりを目指して、安全かつ効果的で楽しいプログラムづくり、および健康セミナーや情報誌等での情報発信を担当している。教育学博士、健康運動指導士、ホームヘルパー2級。
タグ:健康 運動 体操