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東京都の監理団体 第4回 (公財)東京しごと財団2017年06月20日号
公益財団法人東京しごと財団
東京の暮らしを公的に支えるのは、都庁や市区町村自治体だけではない。東京都監理団体を中心に、ビジネス、環境、医療、福祉、スポーツなど、都のくらしを支える公共団体にスポットを当てるコーナー。今回は、都内での就職に関することを「ワンストップ」でサポートする、その名も「東京しごと財団」の全容に迫る。
(取材/種藤 潤)
都の「しごと」に関するあらゆる窓口が集結
JR飯田橋駅から徒歩約7分。「東京しごとセンター」は、「東京しごと財団」が都の指定管理を受け運営を行う、その名の通り、東京都内の仕事に関するあらゆるサポートを担う場所だ。
地上12階、地下3階で構成されるビルの、1階から5階が「東京しごとセンター」。1階は総合相談窓口に加え、55歳以上を支援するシニアコーナーと、女性専用窓口「女性しごと応援テラス」を設置。2階は30歳以上54歳以下の窓口「ミドルコーナー」、3階は34歳以下の窓口「ヤングコーナー」が設置されている。4階と5階には就職に必要なスキルを学ぶ「能力開発コーナー」があり、「障害者就業支援情報コーナー」は5階に設置。年代、性別を問わず、あらゆる人々が都内の仕事を求め、訪れている。その新規利用者数は、年間約26,000人に上る。また8階には、東京都内のシルバー人材センターの運営支援をしている部門がある。
このセンターの他に、徒歩1分ほどの距離にある「雇用環境整備課」、そして都の多摩地区に特化した仕事相談窓口「東京しごとセンター多摩」の運営を、東京しごと財団では行っている。
年代別に3ステップで対応
女性に特化した窓口も設置
同財団の前身は、高齢者、障害者それぞれに特化した就業支援組織で、それらが2004年に統合。2006年より「東京都しごとセンター」の指定管理者指定を受け、以後「東京都しごとセンター多摩」業務も追加、昨年からは「雇用環境整備課」業務も加わった。
「就労支援というと、国の運営するハローワークを思い浮かべると思いますが、その他雇用・就業に関する相談・支援も含めてワンストップでできる組織を立ち上げようということになり、高齢者、障害者に加え、あらゆる年代や性別のニーズに対応する支援組織として新たにスタートしました」(同財団の萩原幸太郎総務課長)
具体的には、まずは1階の「総合相談」で「東京しごとセンター」全体のサービスを案内し、利用者のニーズに合わせて次の窓口につないでいく。就職だけでなく、創業や在宅ワークなどのニーズにも対応する。
就職がニーズの場合、(1)年代ごとに相談・アドバイス→(2)就職に必要な知識・技能を身につける→(3)仕事の紹介、と進む。「女性しごと応援テラス」も基本は同じだが、出産、育児などと両立する「しごと」探しができるのが特徴だ。
「例えば、ヤングの世代はまだ仕事のキャリアが浅いですから、やりたい仕事を見つけるお手伝いもします。また、ミドルは自分のキャリアを見つめ直してもらったり、シニアは定年後のキャリアチェンジを一緒に考えたりします。職業紹介では、ハローワークや民間企業などと連携しながら、年代やその人のニーズに合わせて対応しています」(篠田高志しごとセンター課長)
2017年より企業向け支援を充実・強化
求人市場と言っても、時代によりその状況は変化し、また東京ならではの求人の特徴もある。それらを察知し、対応していくことが東京に特化した就労支援組織には求められる。
「財団設立当初は、いわゆる就職氷河期でしたが、今は逆に仕事が余る『売り手市場』状態です。状況に応じてサポートの方法を変える必要があります。また、東日本大震災では、都に避難した被災者の方々の就労窓口も請け負いました」(篠田センター課長)
近年は「売り手市場」の状況や、働き方改革の気運の高まりを受け、人材確保などをサポートする企業向け支援事業をスタート。その拠点が、前出の「雇用環境整備課」だ。
「昨年4月に発足したばかりですが、今年度からさらに事業を拡大しました。例えば、人材確保相談窓口の開設、コンサル支援、採用戦略を学べるセミナー等の開催、テレワークの普及促進に向けた環境整備への助成金、企業内保育施設設置相談窓口や設置促進助成金など、多岐にわたります。特に企業内保育所は、国も都も待機児童解消に向け力を入れているため、企業側の関心も高く、先日行ったセミナーは満席状態でした」(松本朋之雇用環境整備課長)
ミスマッチを解消すべく企業と求職者の距離を縮める
「売り手市場」とはいえ、職種によっては人気が集中し、就職したくてもできない場合もあるという。一方で2020年に向け需要が増すことが予想される警備・建築関係等の仕事をはじめ、労働環境が厳しい印象が強い職種は、企業側にとって特に人材確保が厳しい状況だという。そうしたミスマッチの解消にも、今後は力を入れたいそうだ。
「そのために、企業向け支援を一層進めると同時に、働く側の就職する意識を変えていくことで、企業と求職者との距離を縮めていくことが我々の仕事だと思っています。就職する側、採用する側、どちらのサービスも行っているからこそできることだと思います」(萩原総務課長)
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